今更つちやかおりでもない。
つちやかおりは、たぶん80年代くらいのアイドル歌手で、しぶがき隊のふっくん、布川某の奥様のはずだ。
当時レコード店に勤めていたので、知識はある。だが、唯一聴いたことがあるのは「もう家なんて帰らない」という曲で、これは秋元康と高橋恭司という人の作曲だ。実はこの高橋恭司、虎舞竜の高橋ジョージだ。レコード店にいる利点の一つは、レコード会社から頂けるサンプル盤だった。尤も、本来は貸与で、しかもレコード店に対してだが、欲しいものがあると営業マンにねだったものだ。もちろん、店頭で繰り返しかけるので、むしろ店員が気に入って欲しいという盤の方が宣伝効果はあったかも知れない。
「もう家なんて帰らない」はそうではなく、まとめて送ってきた中にあったレコードだった。
ただ、記憶は曖昧で、自分で買った可能性も高い。アイドルでも気に入ると買っていたから。
まあ、今更どちらでもいいのだが、この曲は気に入っていて、現在ではパソコンに取り込んで聴いている。当時のシングル盤で同様になぜか気に入っているのは、秋山絵美という歌手の「太陽のアラベスク」という曲だ。これは、今は亡きブルーコメッツの井上大輔の曲だ(井上忠夫の方がしっくり来るな)。大西結花の「シャドウ・ハンター」という曲も井上氏の作曲で、似たような曲調だ。こちらは浅香唯が主演をしていた当時の「スケバン刑事」の挿入歌だった。実はこれもレコードを持ってたり。
さて、そんなわけで、つちやかおりはぼくにとって「もう家なんて帰らない」だけの歌手だったのだが、そのつちやかおりの曲をパソコンに取り込むに辺り、元々レコードからはめんどくさいわけで(結局レコードから取り込んだのだが)、ネットで探していたら、デビューアルバムが再発売されていた。しかも、YouTubeで見ると、その曲が聴ける。というか見れる。そこで物は試しに聴いてみるとなかなか面白い。
60,70,80年代のアイドル歌謡曲、あるいはもっと大きく歌謡曲というのは、演歌とも違い、ニューミュージックやフォークとも違う、メロディ偏重の(というと語弊があるが)、こてこての日本人向けポップスが多い。
現在の、グローバルでアメリカンというか、音と詞の関係がとても外国風な音楽ではなかなか生まれてこない、ベタな音楽がたくさんあった。
だから、どんな歌手の曲でも、アルバム何枚か聴けば、たぶん1曲や2曲は気に入る曲がある。そんなわけで、つちやかおりのアルバムを借りた。到底買う気にはならないから(だって25年前の、しかも聴きたいのは1曲だけで、2,236円。信じられない値付けですよ)レンタルで借りた。
実際には「オリエント急行」以外にもちょっと面白い曲が2曲ほど入っていた。とは言っても、ちょっと続けて聴くのはやはり1曲だ。
「もう家なんか帰らない」はなかなか時代のギャップを、当時でさえ感じる曲だったが、「オリエント急行」の方は、何ともアイドルらしからぬ内容の曲だった。
この頃のアイドルは、歌はへたくそというイメージがあるが、そんなことはない。結構うまい人が多いし、つちやかおりもなかなかうまい。
アイドルもなかなか侮れないということだ。
ルトスワフスキ(1913-1994)はポーランドの作曲家だ。ポーランドの作曲家として思いつくのは、ペンデレツキとシマノフスキくらいだ。あ、ショパンがいるか。どうでもいいが、ショパン。あとは関係ないがシェーンベルクの「ワルソーの生き残り」か。
1913年生まれということから解るように、明らかに現代音楽の作曲家だ。 だが、この「管弦楽のための協奏曲」は、それほど現代音楽的でない現代音楽だ。
「オケコン」というと大概はバルトークのそれを指す。 だがルトスワフスキのそれも同じくらい名曲だと思うが、有名ではない。「オケコン」というからには、管弦楽の各楽器を協奏曲的に使っているということなのだろう。実はこの辺りのオーケストレーションに関して言えば、ぼくにはさっぱり解らない。バルトークのものも、ルトスワフスキのものも、作曲のテクニックという意味ではここがこう優れているという技術的な部分は、あまり興味がないので、ただ聴いていて極論すれば、好きか嫌いかで好きなだけだ。
実際のところ、ルトスワフスキがバルトークの影響を受けていないのか、と言えば、とても受けていると言っていい内容の曲だ。バルトークがオケコンを書いていなければ、「あたかもバルトークのような」みたいな表現を使っていたかも知れない。
5楽章でもあり、全体の構成を考えても、交響曲第1番と言われれば、そういうものかと思ってしまう。
冒頭の弦が奏でるちょっと不気味なメロディが全体を支配していて、明るいところはほとんど無い。1954年という作曲時期を考えれば、第2次大戦後のポーランドの作家が、それほど明るい曲を書かなくても不思議ではない。この曲に、悲惨なポーランド侵攻から始まった戦争の影を見るのは決して難しくはない。
そういう意味で、ぼくは自分で持っているドラティの演奏は少し物足りない。 きれいすぎて。他の演奏も持っていたと思うのだが見つからない。どうやら3年前の引っ越しの折、ダンボール一箱分くらいのCDが行方不明で、その中にあったように思う。ペンデレツキも入っていたし、ジャニス・イアンも入っていたのになあ。捨てちゃったのかなあ。
今回これを書く気になったのは、実はmixiのradioという機能を使っていたら、いきなりバレンボイムの演奏でこの曲が流れたからだった。久しく聴いていなかったので、改めてきてみた。
やっぱ名曲だと思うのだが・・・