復刻版 正太郎日誌 浪速の正太郎1
正太郎の声 「年に一度、東京ロボットショーが代々木総合公園で開催される、世界ロボット博に比べたらスケールは小さいが国内のロボットと海外のロボットメーカーを数社招きその性能を披露するイベントなのだが今回は日本の、それも大阪から思ってもみなかったライバルが出現したのだ」
東京ロボットショー特設会場 一台のロボットの前に立ち見上げている正太郎と敷島、
敷島 「・・・これが雷人(らいじん)というロボットか」
正太郎 「顔の造りは違うけど何となく鉄人を彷彿させますね」
そのロボットは鉄人と同じく西洋の甲冑を着た騎士を思わせる、顔の造りは鉄人よりかなりいかめしく強いて例えればマジンガーZに近い、
正太郎 「協賛がすごいですよ、関西電力、神戸重工、阪神製鉄、松上電器、関西の大手企業ばかりです」
敷島 「関西の企業が共同でロボットを出品するという話は耳にしていたがまさかこういうタイプだとはねえ」
(その時敷島の背後から声が) 「敷島さんと違いますか?」
敷島 「(その声にふりむく)・・・・・?」
男 「私のこと覚えてはりますか?」
敷島 「君は・・・島田君か!」
島田 「はい、島田です、えらいご無沙汰しまして」
敷島 「いや、本当に久しぶりだ、あれからどうしていたのかね?」
島田 「へえ、まあいろいろありまして、今は神戸重工さんにお世話になっとるんですわ」
敷島 「神戸重工?・・じゃあ君はこの雷人というロボットの関係者なのか?」
島田 「へえ、実はこれ、私が設計しましてん」
敷島 「なんと!君が製作者だったのか?」
正太郎 「・・・博士?」
敷島 「ああ、紹介しよう、島田君といってね、昔乗鞍岳で鉄人製作のスタッフの一人だったんだよ」
正太郎 「そうだったんですか」
島田 「正太郎君やね?島田幸治です、どうぞよろしゅう」
正太郎 「こちらこそ」
島田 「確かに昔、鉄人製作のスタッフをしとったんやけど製造に着手し始めた頃に病気で体を壊してしもてね、早々にリタイヤしたんや」
正太郎 「そうでしたか」
島田 「胸の病やったんやけど治療と養生で一年近く病院暮らしで退院した頃はもう僕の出る幕はなくなってたわ」
敷島 「退院して大阪へ帰ったとだけ聞いたんだよ」
島田 「へえ、やっぱり未練みたいなもんを引きずってましたけど、まあしゃあないとあきらめてしばらく他の仕事をしとったわけですけど二年前に神戸重工はんから声がかかりまして鉄人に匹敵するロボットを作ってみいへんかと言われたんですわ」
敷島 「ほう」
島田 「まあ関東に対する対抗意識もあったんでしょう、関西の大手企業が協賛してひとつ作ってみよやないかと・・」
敷島 「そうか・・しかし君一人で設計をしたのかね?」
島田 「さあそこですわ、なんぼ私が鉄人のスタッフの一員やったというても敷島さんみたいに構造のすべてを把握してたわけやおまへん駆動システムの一部を担当しとっただけやから、あとの部分はうろ覚えで詳細となるとわからしまへん、自分の記憶を頼りにいろんなメーカーの技術の人と相談しながらコツコツ図面を書き上げてようやっと仕上がったというわけで・・」
敷島 「なるほど、いや苦労したんだね」
島田 「はあ、確かに苦労はしましたけど鉄人作りに参加できなんだ心残りを雷人で果たせたような、なんやそんな気分ですわ」
敷島 「それで・・この雷人の基本性能はどれほどの・・」
(後ろから会話を遮るように)
声 「お父ちゃん!」
島田 「おう、正太郎、どないした?」
正太郎 「正太郎?」
ふりむくとそこには正太郎と同年代と見られる少年が立っている、
少年 「神戸重工の専務さんが呼んでるで、関西電力の偉いさんが来たいうて・・」
島田 「そうか、わかった、ああ紹介しますわ、息子の正太郎です、正太郎、こちらが鉄人を作りはった敷島博士と金田正太郎君や」
少年 「島田正太郎です、どうぞよろしゅうに」
敷島 「君も・・正太郎君というのかね?」
少年 「へえ、偶然でんな」
敷島 「そう、今日はお父さんと一緒に見学に来たんだね?」
少年 「て言うか・・僕一応関係者なんです、雷人の操縦者として」
敷島 「君がこのロボットを動かすのか?」 (つづく)
