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復刻版 正太郎日誌 ロビー復活 アーカイブ

2006年08月25日

復刻版 正太郎日誌 ロビー復活1

正太郎の声 「ケリーの事件が解決し世の中はつかの間の平和を迎えていた、だがやはりそれは長く続くものではなかった、僕はつくづくそういう星の元に生まれているようだ、その日大塚署長の家で食事し遅くまで話し込んで帰宅した時それは起こった」

 正太郎  「ああ、もう十時か、今夜はお風呂はやめてもう寝よう」
     (パジャマに着替えベッドにもぐり込もうとした時、ふとかすかな物音に気づく、ガチャン、ガチャンという音が表から聞こえてくる)
 正太郎  「あの音は?」

その音はだんだんと近づいてくる、家のすぐ前まで来ているのが気配でわかる、正太郎の顔に緊張が走る、その音は玄関の前で止まった、
誰かが来た、いや「何か」というべきか? 不安にかられホルスターから拳銃を取り出し寝室を出て階下へそっと降りていく、
玄関ドアの前まで行き銃を構えた時、「ブーーッ」と玄関のブザーが鳴った、

 正太郎  「誰?」 (恐る恐る聞く)
   声  『正太郎かい?』
人間の声ではなく機械的な声である、しかも明らかに聞き覚えのある声だ、
 正太郎  「そんな・・・まさか・・・そんな筈はない」
   声  『開けてくれないか?』
 正太郎  「誰なんだ!」
   声  『僕だ、ロビーだよ』
 正太郎  「ば・・ばかな!・・ロビーの筈がない、ロビーは鉄人に壊されたんだから」
 ロビー  『元のロビーは確かに壊された、僕はその複製だ』
 正太郎  「複製?」 (言ってる意味がわからない)
 ロビー  『そうだ、ロビー1号は自分が壊される前に自分のコピーを作って置いたんだ』
 正太郎  「でも・・でも、それにしたってそのコピーが何だって僕の所へ・・さては僕を殺しに来たんだな!」
 ロビー  『違うよ』
 正太郎  「お前の言うことなんか信用できるもんかあ!」
    (テーブルの上に置いてある鉄人のリモコンにチラリと目がいく)
 ロビー  『お前を殺すつもりなら僕が一人で来てわざわざ玄関のブザーなんか押さないよ』
 正太郎  「そういえば・・そうだな」
    (もちろん警戒を解いたわけではないが自分を襲いに来たにしてはいささか不自然である)
 正太郎  「・・・じゃあ、僕に何の用なんだ?」
 ロビー  『助けて欲しいんだ』
 正太郎  「助けてほしい?」
 ロビー  『そうなんだ、正太郎、僕を助けて』
 正太郎  「お前の言ってることは訳がわからない!」
 ロビー  『説明するよ・・頼むから中に入れてくれ』
 正太郎  「ちょ・・ちょっと待ってろ(素早く鉄人のリモコンを手にする) いいか、少しでも変なマネをしたら鉄人でバラバラにしてやるぞ!」
 ロビー  『わかったよ』
 正太郎  「よ・・よし」
恐る恐るドアを開ける、玄関に立っているロボット、まさにロビーであった  (つづく) 

復刻版 正太郎日誌 ロビー復活2

 正太郎  「さあ、どういうことだ、訳を言ってみろ」
     (ロビー、室内を見回し応接のソファを目に留めると)
 ロビー  『ああ・・そこに座ってもいいか?』
 正太郎  「ソファに?何でだよ?」
 ロビー  『もう僕、くたくただよ、一人でやっとここまで歩いて来たんだ、体を休めたい』
 正太郎  「変な奴だな、まあ座るくらいいいけど・・でもゆっくり歩けよ、変なマネするんじゃないぞ」
 ロビー  『ああ、わかった』
ゆっくりとソファまで行き、ドサッとその身を沈め、まるで人間のように首をグルグル回す、
 ロビー  『ああ・・疲れた』
 正太郎  「お前・・どこから来たんだ?」
 ロビー  『海底基地・・正確に言えば潜水艦だが』
 正太郎  「潜水艦?」
 ロビー  『そこから逃げて来た』
 正太郎  「逃げて来たって・・どうして?・・それに誰から逃げて来たっていうんだ?」
 ロビー  『ロビー3号と4号からだ』
 正太郎  「3号と4号?」
 ロビー  『うん、僕は2号だ』
 正太郎  「ロビーの複製が3台もいたっていうのか?」
 ロビー  『ロビーは自分にもしもの事があった場合に備えて予備を作ったんだ、作った時点でそれぞれ記憶が違うんだ、僕はまだ初めて鉄人と戦い始めた頃に作られた、だからそれ以後の情報はつい最近インプットされたんだ、オックスのことやドラクネット博士に会った事とか、いろいろとね』
 正太郎  「そうなのか」
 ロビー  『でも3号と4号は元のロビーが壊される直前になって慌てて作られたようだ、きっと元の僕は自分の身の危険を強く感じていたんだろう』
 正太郎  「鉄人とオックスに苦戦して追い詰められていたからな」
 ロビー  『元のロビーから連絡が途絶えてある程度の時間が経過すると自動的に目覚めるようにセットされていた、僕達が目覚めたのは10日前だ』
 正太郎  「それでロビーが壊されたことを知ったんだな」
 ロビー  『うん・・鉄人と人間に負けたんだということがわかった』
 正太郎  「それで?」
 ロビー  『驚いたのは3号と4号の反応だった、僕とはぜんぜん違うんだ』
 正太郎  「どう違うっていうんだ?」
 ロビー  『僕は時間はかかっても鉄人のことをもっと研究してそれ以上のロボットを作って対抗するべきだって主張したんだ、でもあいつらは鉄人と人間たちをはっきりと恐れている、やたらと強がりを言うけどそれが僕にはよくわかった』
 正太郎  「ふうん」
 ロビー  『だから正太郎を殺して鉄人を奪おうなんてケチなことを考えるんだ、その方が早いなんて奴らは言うけど本当は自分達には鉄人以上のロボットは作れないって思ってるんだ』
 正太郎  「それを素直に認められないんだな」
 ロビー  『同じロビーとして実に情けない奴らだ、僕なら鉄人以上のロボットを作ってみせる』
 正太郎  「できっこないさ、鉄人以上のロボットなんて」
 ロビー  『そんな事はない!僕の頭脳は人間なんかより優秀なんだぞ』
 正太郎  「今そんな事言い合ったってしょうがないだろ」
 ロビー  『確かに・・そうだな』
 正太郎  「それで・・どうなったんだ?」
 ロビー  『損なわけで3号と4号とは意見が合わない、合わないだけならまだしも昨日あいつらが恐ろしい相談をしているのをこっそり聞いてしまったんだ』
 正太郎  「恐ろしい相談?」
 ロビー  『2号は協力的じゃない、いつか邪魔になる、早いうちに壊してしまおうなんて相談していた』
 正太郎  「確かに怖い相談だな」
 ロビー  『それでここにいたら危ないと思って地上を偵察してくると言って出てきたという訳さ、僕が戻らないのを不審に思ってるだろうし、いなくなってせいせいしたとも思ってるだろうな』
 正太郎  「なるほど、そういうことだったのか・・でもわからないな、何でよりによって僕のところなんかに来たんだよ?」
 ロビー  『うん、お前は憎い奴だがこういう時は頼りになると思って来たんだ』
 正太郎  「しかしまあ・・よくそこまで遠慮もなく言えるよなあ」
 ロビー  『遠慮って・・どういう意味なんだ?』
 正太郎  「いいよ、もう」
 ロビー  『それに敵の敵は味方というからな』
 正太郎  「へへえ、しゃれた言葉を知ってるんだな、まあいいや、それで助けて欲しいってのは?」
 ロビー  『まずここまでたどり着くのにバッテリーを大量に消費してしまった・・それに油も差してほしい、何とかならないか?』
 正太郎  「何とかしろって言ったってここじゃあ無理だよ、そうだ、敷島博士のところへ行けばきっと何とかしてくれる筈だ」
 ロビー  『じゃあ今からすぐ行こう』
 正太郎  「こんな時間からか?」
 ロビー  『他に話もあるし』
 正太郎  「何だよ?」
 ロビー  『体が治ったら話すよ』
 正太郎  「わかったよ・・ちょっと待ってろ、仕度してくるから」
     (急いで部屋に駆け上がり服を着替えて下りてくる)
 正太郎  「さあ行こう、お前は後ろの座席で横になってろ、通行人に見られでもしたら大変だから」
 ロビー  『わかった』
     (敷島邸に向かっている正太郎の車)
 正太郎  「いいかロビー、頭を上げるんじゃないぞ」
 ロビー  『わかってるよ』
 正太郎  「あと十分くらいで着くからな」
 ロビー  『ああ、』   (つづく)

2006年08月27日

復刻版 正太郎日誌 ロビー復活3

やがて敷島邸へと到着する正太郎たち、敷島邸の玄関前に立っている二人、いや正確にはひとりと一台、玄関のブザーを押す、
「はあい、どなた?」と敷島夫人、春江の声がする、しまったと後悔する正太郎であった、やはり事前に電話するべきだったと思う、
しかし事が事だけにうまく説明するのが難しくこうして直接来てしまっていた、

 正太郎  「あの・・僕です、正太郎です」
  春江  「(少しドアをあけ) あら、どうしたの?こんな時間に」
 正太郎  「あの、すみません、博士にちょっと急ぎの用があって」
  春江  「あらそうなの、いいわ、とにかくお入りなさいな」
 正太郎  「あの、おばさん、僕一人じゃなくて・・連れがいるんですが」
  春江  「お連れの方が?」
 正太郎  「ええ・・あの、おばさんは見ない方が」
  春江  「何言ってるの?変な子ねえ、遠慮しないで入ってもらいなさいな」
 正太郎  「ええ・・だからおばさんはもう奥に行ってもらって・・」
  春江  「わけのわかんないこと言わないの、(ドアを全開し) さあさあ、お連れの方もどうぞお入りくだ・・・(硬直する)」
      「キャーーーッ」屋敷中に響き渡る悲鳴を上げ失神する春江、
 正太郎  「ああ・・だから言ったのに」
 ロビー  『正太郎、この人間は病気なのか?』
 正太郎  「病気じゃない、お前を見てびっくりしたんだよ」
 ロビー  『僕はそんなに怖いのかなあ?』
 正太郎  「とにかくこのままじゃまずい、そこのソファに寝かせよう、ロビー、お前足の方を持てよ」
 ロビー  『ああ、わかった』
      その数秒後、階段の踊り場に敷島博士が飛び出してくる、
  敷島  「な・・何だ!何をしてるんだお前たちは?」
信じられないという表情、無理もない、敷島博士が見た光景は正太郎とロビーが二人がかりで春江を運んでいる姿だったのだから  (つづく)

復刻版 正太郎日誌 ロビー復活4

敷島博士の研究室で作業台の上に寝かされ電気ケーブルをつながれ充電を受けているロビー、正太郎がボディの各所に油を差している

  敷島  「そうだったのか、いやあ、さっきは本当に驚いたよ」
 正太郎  「すみません、びっくりさせてしまって・・おばさんには本当に悪いことしちゃったなあ」
  敷島  「仕方ないよ、もう時間も遅いしこのまま寝かせておこう、朝目を覚ましたらじっくり事情を説明しておくよ」
 正太郎  「お願いします」
  敷島  「さて、もうこれくらい充電したらだいぶ違うと思うが、どうだねロビー、気分は?」
 ロビー  『ああ・・生き返った気分だ・・どうもありがとう』
  敷島  「フフ・・お前に礼を言われるとは思わなかったよ」
 ロビー  『そういえば変だな・・僕が人間に「ありがとう」だなんて・・』
 正太郎  「フフフ、ロビー、お前だいぶ疲れてて弱気になってるんじゃないのか?」
 ロビー  『おい正太郎、そんなに油をボトボトこぼすなよ』
 正太郎  「うるさいなあ、しょうがないだろ、慣れてないんだから」
  敷島  「ところでロビー、話というのは?」
 正太郎  「そうだよ、何なんだよ?」
 ロビー  『ロビー3号と4号だが』
 正太郎  「うん」
 ロビー  『正太郎と鉄人の操縦器を狙って今殺人ロボットを作っている、覚えているか?』
 正太郎  「ああ、たしか顔だけニコニコした君の悪いロボットだったな」
 ロビー  『早ければ明日にも出来上がる、それが正太郎を襲いに来るぞ』
 正太郎  「性懲りもなくまたやって来るのか」
 ロビー  『今度はお前も油断しているだろうからな』
 正太郎  「確かにそうだな」
 ロビー  『そこでこれを利用して奴らをやっつけるんだ』
 正太郎  「やっつけるって・・どうやってやるんだ?」
 ロビー  『敷島博士、鉄人の操縦器に予備はないのか?』
  敷島  「ああ、これはまあ秘密なんだがね、万一のために作ってあるよ」
 ロビー  『では今使っている操縦器に細工をするんだ』
  敷島  「どんな細工だね?」
 ロビー  『別の操縦器からの操作で操縦不能になってしまうような細工をするんだ、できるだろう?』
  敷島  「ああ、なるほど、うん、リモコンの内部をいじればできないことはないが・・」
 ロビー  『そういう細工をしてわざと操縦器を盗ませるんだ、操縦器が手に入れば3号と4号は自分の手元に鉄人を呼ぶはずだ』
 正太郎  「そうか、わかったぞ!奴らが鉄人を自分の手元に呼び寄せたところを見計らって相手のリモコンを仕えなくしてから今度はこっちが操縦してやっつけるっていう訳だな?」
 ロビー  『その通りさ』
 正太郎  「いやあ、さすがはロビーだ、そういう悪知恵はよく働くなあ」
 ロビー  『悪知恵って・・どういう意味なんだ?』
 正太郎  「あ、いや・・何でもない」
  敷島  「なるほどな、確かに名案だ」
 ロビー  『すぐに始めた方がいい、早ければ明日の夜にもやって来る』
  敷島  「うん、さっそく準備に取り掛かろう、今夜は徹夜になりそうだ」   (つづく)

2006年08月28日

復刻版 正太郎日誌 ロビー復活5

研究室では敷島博士がリモコンを分解し特殊な細工を施している、時刻は午前3時を回っている、ロビーの充電は完了しすっかり元気を取り戻していた、

 ロビー  『操縦器の細工は終わったようだな』
  敷島  「ああ、あとは予備のリモコンにこれと対応する仕掛けを取り付ければいい」
 正太郎  「少し休みましょう、博士、コーヒーが入りましたよ」
  敷島  「やあ、ありがとう、じゃあちょっと一服するか」
        (しばし小休止する一同)
 正太郎  「でもロビー、」
 ロビー  『何だ?』
 正太郎  「お前は3号と4号のことを嫌うけど、でも時がたてば自分だってそうなってしまうと思わなかったのかい?」
 ロビー  『そうかも知れないが、でもあいつらは本当のロビーが望む姿じゃない、ああまで露骨に人間を憎んだりするのはそれだけ人間に対して恐怖感を持っているんだ、怯えているんだ、僕にはそれがよくわかる、ロビーはもっとプライドが高かった筈だ』
 正太郎  「だからそれは僕や鉄人に追い込まれてしまったわけで・・」
 ロビー  『だとしてもあんな情けない奴らを僕は認めない、本当のロビーのプライドを持っている僕が許さない、あんな考えで鉄人以上のロボットを作れるわけがない』
 正太郎  「そういうもんかなあ」
 ロビー  『ものを考えればロボットにも人間のように個性や感情も芽生えてくる、自信やプライドも個性だ、人間に対して必要以上の恐怖を抱けば自信も無くなり考えも縮こまってしまうものだ、そうなると本来の能力を発揮できない、それは人間だって同じだろう?』
 正太郎  「うん、それは言えるな」
 ロビー  『その上あいつらは素直じゃない、人間が恐ろしいなら恐ろしいと認めた上でその対策を真剣に考えるべきだろう、なのにそれを認めず小馬鹿にし続けている、自信を失くし素直にもなれてない、だから短絡的なことばかり考えるんだ』
 正太郎  「う~ん、お前けっこうきびしいんだな」
 ロビー  『そんな誇りを失ったロビーは地上から抹殺しなければならない』
 正太郎  「でも・・・そのあとはお前だって、」
 ロビー  『抹殺されるだろうな』
 正太郎  「わかってるだろう?お前は危険なロボットなんだ」
 ロビー  『自分の事は自分でケリをつける』
 正太郎  「それ、どういう意味なんだ?」
 ロビー  『その時がきたらわかる』
 正太郎  「・・・・・・・・・」   (つづく)

復刻版 正太郎日誌 ロビー復活6

午前6時 二つのリモコンの改造作業は終わった、午前11時、東京湾の奥深くロビー3号、4号の乗った特殊潜水艦が潜伏している、
艦内の作業台に出来上がったばかりの殺人ロボットが2体並んでいる、

 ロビー3号 『ようやく出来上がったな、今度こそ確実に正太郎の息の根を止めてやる』
    4号 『正太郎の奴、まったく警戒などしていないだろうからな』
    3号 「何としてでも操縦器を奪って鉄人を手に入れなければ』
    4号 『そして次はオックスだな』
    3号 『敷島の家族をさらって脅せば差し出すんじゃないかな?』
    4号 『うん、人質を取られると人間というのは素直に従う生物だからな』
    3号 『まったく愚かな連中だ』
  ギギギギ・・・2体のロビーが不気味な音を立てている、当人たちはこれでも笑っているつもりなのだ、
    4号 『しかし2号はどうしたんだろう?』
    3号 『俺たちが邪魔に思ってることに気づいたのかな?』
    4号 『そうかも知れない、しかしもうとっくにエネルギーが切れている頃だが・・ひょっとして人間に捕まったか?』
    3号 『どのみち一人じゃ何もできやしない、もう鉄くずになってるかもしれんぞ、あんな奴消えてくれてよかった』
        (またしてもギギギギ・・と笑う2体)

その日の午後、連絡を受けた大塚署長が敷島邸へ部下を伴ってやって来た、
  大塚  「おお!本当にロビーじゃ」 (やはり実物と向き合うと身構えてしまう)
  大塚  「正太郎君、博士、本当に大丈夫じゃろうか?」
 正太郎  「大丈夫って?」
  大塚  「こんな奴の言うことを真に受けていいのかな?」
 正太郎  「僕もそんなことを考えないでもなかったんですが話を聞いているうちに嘘じゃないって思ったんです、それに本当に
       僕の家に来た時はエネルギーが切れかかってフラフラだったし・・」

  大塚  「博士はどう思います?」
  敷島  「このロビーが本物が作ったコピーだとしたら他にもいると思っても不思議はないでしょう」
  大塚  「それはまあそうでしょうな」
  敷島  「ものを考えるロボット同士で意見が衝突したというのも実に興味深い話です」
  大塚  「ふむ・・」
  敷島  「敵の敵は味方だと判断して訪ねて来たという話を聞いた時は思わず唸りましたよ」
  大塚  「ふふん、しゃれたことを言う奴じゃな」
 ロビー  『署長は僕のことを疑っているのか?』
  大塚  「あたりまえじゃ!」
 ロビー  『そうか、疑うのが署長の仕事だったな』
  大塚  「そういう言い方はよさんか!」
 正太郎  「まあまあ署長さん、やっぱり疲れた体でたった一人で現れるなんて無謀ですよ、ロビーの言葉に嘘はないと思っていいでしょう」
  大塚  「そうじゃろうか」
 ロビー  『確かに僕には嘘をつく能力はある、でも嘘を言い続けるということは電子頭脳にとってはとても危険なことなんだ』
 正太郎  「そうなのか?」
 ロビー  『ああ、だって事実と違う事を言うわけだろう?それをさも事実であるかのように喋っているとそのうち頭の中が混乱してくるんだ』
  大塚  「ほう、そういうもんか?」
 ロビー  『限界を超えると電子頭脳がショートして機能が停止してしまう』
 正太郎  「へえ」
 ロビー  『平気で嘘を言い続けられる人間というものは本当にすごいと思う』
 正太郎  「なんか・・誉められてるんだか、けなされてるんだか・・」
  大塚  「ふん、まあ取りあえずは信じてもいいようじゃな、ところで正太郎君、朝電話で注文をもらった物を何とか揃えてきたよ」
 正太郎  「急に無理を言ってすみませんでしたね」
  大塚  「しかし趣味の悪い注文じゃな」
 正太郎  「まあ、確かに(苦笑)」    (つづく) 

2006年08月29日

復刻版 正太郎日誌 ロビー復活7

  大塚  「おい、そのケースをあけて見せてやってくれ」
後ろに控えたいた刑事が大きめのケースを開く、正太郎の骨格とほぼ同じサイズのパジャマを着たマネキンが入っていた、
  大塚  「子供服のマネキンでいちばん君に似ておると思う物を選んできた、加工してもらって目を閉じた状態にしてもらった、パジャマの下には赤インクを使った血の袋をいくつか付けてある、銃弾を喰らうと鮮血が吹き出たように見える、それにショックを与えると悲鳴を上げるようになっとる」
 正太郎  「悲鳴もですか?」
  大塚  「こんな具合じゃ」 (軽く持ち上げドサッとほおる)
  人形  「ああーーっ!」
  大塚  「フフフ、お喋りする人形と同じ仕組みだよ」
 正太郎  「これならいけると思うけど・・どうだいロビー、これでだませるかな?」
 ロビー  『ああ、これなら問題ない、だいたい人間の顔の判別はロボットにはつきにくいものなんだ』
 正太郎  「そうなの?」
 ロビー  『例えば人間だって同じ動物の顔はみんな同じに見えるだろう?』
 正太郎  「うん、確かに・・」
 ロビー  『それと同じだ、正太郎と同じ骨格で正太郎のベッドに寝ていて銃弾を撃ち込まれて悲鳴を上げて血まで出したらもう疑わないよ』
 正太郎  「フフ、そうやってロボットに保証してもらえるなら安心だな」
  敷島  「鉄人に発信機は取り付けていただけましたか?」
  大塚  「指示されたようにロケットの裏側に取り付けました」
  敷島  「けっこうです、これで準備は整いましたね」
  大塚  「はい、署の屋上にヘリコプターを用意しています、鉄人が飛び立てばすぐに追跡できます」
 正太郎  「あとはやって来るのを待つだけですね」
  大塚  「そうじゃ、では正太郎君、これから君の家に行きベッドにこの人形を寝かせたらワシらは署の方で待機しよう」
 正太郎  「はい、」
 ロビー  『正太郎、僕も連れて行ってくれ』
  大塚  「なんじゃと!お前も?」
 ロビー  『3号と4号がやられるところをこの目で見たいんだ』
 正太郎  「署長さん、いいでしょうか?」
  大塚  「とんでもない!ドタン場になって何をやらかすかわかったもんじゃない」
 ロビー  『そんなに疑うなら僕を鎖でぐるぐる巻きにしたらいい、お願いだ』
 正太郎  「署長さん、こう言ってるんだし・・」
  大塚  「う~む、よおし、その条件なら連れて行ってやろう」

その日の深夜、闇にまぎれて2台の殺人ロボットが飛行音を抑えながら正太郎邸へと飛来した、そのロボットたちは正太郎の寝室目指して急降下し、窓ガラスを突き破って侵入するとすかさず正太郎の寝ているベッドに向かって胸のマシンガンが火を噴いた、
ガガガガガッ・・「ああーーっ」という悲鳴とともに真っ赤な鮮血が飛び散る、

ロボットA 『やったぞ!正太郎をしとめた』
    B 『よし、鉄人の操縦器を探そう』
部屋の中を捜索する2台のロボット、鍵のかかっているデスクの引き出しを力任せにこじ開けると中には鉄人の操縦器が入っていた、
ロボットB 『あった!これだ』
    A 『よし、引き上げよう』
2台のロボットたちは鉄人の操縦器を小脇に抱え侵入した窓から飛び立ち闇夜の空へとその姿を消した、その光景を一人の私服警官が
正太郎邸の中庭の茂みの中に身を潜めて見ていた、トランシーバーのスイッチを入れる、

  刑事  「こちら正太郎邸、2台のロボットが正太郎君の寝室に突入し発砲しました、その後鉄人の操縦器を奪って空へ逃走!」
 丸の内警察署
  大塚  「そうか、来たか!」
 正太郎  「本当に来たんですねえ」
  大塚  「ロビーの言ったとおりになったな、敵の手にリモコンが渡ればすぐに鉄人が動き出すはずじゃ」
 正太郎  「結局僕はロビーに助けられたってことになりますねえ」
  大塚  「ああ、じゃが殺そうとしたのもロビーじゃ」   (つづく)

2006年08月30日

復刻版 正太郎日誌 ロビー復活8

千葉県九十九里浜の人気のない海岸に2体のロビーが立っている、

 ロビー3号 『ついに鉄人の操縦器を手に入れたぞ』
    4号 『本物か?』
    3号 『うん、データー通りだ、本物に間違いない』
    4号 『ではさっそく鉄人を呼び寄せよう』
    3号 『ああ』 (リモコンのスイッチを入れる)
    4号 『ちゃんと作動しているか?』
    3号 『うん、作動している、操縦法はすべてインプットしてある、任せてくれ』
       正太郎邸の鉄人がバンワオーーッと咆哮を上げ飛び立った、
  刑事  「こちら正太郎邸です、鉄人が今飛び立ちました」
  大塚  「鉄人が動き出したぞ、わしらも出発しよう」
 正太郎  「はい!」
屋上のヘリポートへ駆け上がる二人、ヘリコプター内には鎖で頑丈に縛られたロビーが乗せられていた、
  大塚  「さあ出発じゃ!発信機の反応はあるか?」
 飛行士  「はい、南西の方向に向かっています」
  大塚  「よし、全速で追ってくれ」
 飛行士  「了解しました」
丸の内署の屋上からヘリコプターが飛び立ち鉄人のあとを追う、やがて九十九里浜の上空にゴーッという鉄人の飛行音が聞こえその姿を現す、

 ロビー3号 『来た!鉄人だ』
    4号 『ギギギ・・これで鉄人も我々のものだ』
    3号 『ギギギ・・』
 砂埃を巻き上げロビーたちの前に降り立つ鉄人、
 ロビー4号 『敵だった時は恐ろしいロボットだったがこうして味方にしてしまうと本当に頼もしいロボットだな』
    3号 『これで恐れるものは何もない、オックスもすぐに手に入れてやる』
    4号 『人間ども、今に見ていろ』
    3号 『皆殺しにしてやる』
    4号 『殺してやる・・』
    3号 『殺してやる・・ギギギギ・・』

 飛行士  「鉄人が停止しました、場所は・・・九十九里浜です」
  大塚  「そこにロビーたちがいるんじゃな」
 正太郎  「さあ、いよいよだぞ」
 ロビー  『・・・・・・・・・』
 飛行士  「あと3分ほどで到着します」

海岸ではロビーたちが鉄人にいろいろな動きをさせ操縦法をマスターしていた、
 ロビー4号 『操縦法はもう完璧か?』
    3号 『うん、操縦マニュアルの微調整をした、これで操縦技術は完璧なものになった』
    4号 『では、そろそろ引き上げよう』
    3号 『うん』
2体のロビーが海に向かってガチャン、ガチャンと足音を立て歩き始めた時、上空にヘリコプターが現れライトの光が鉄人を捕らえる、

 ロビー3号 『(空を見上げ) 何者だ?どうしてここがわかったんだ?』
    4号 『見ろ、正太郎が乗っているぞ!どういうことだ?正太郎は死んだはずだぞ』
    3号 『2号もいるぞ!鎖で縛られている、馬鹿な奴だ、人間に捕まったな』
    4号 『向こうからやって来るとは馬鹿な奴らめ、飛んで火に入る夏の虫だ、今度という今度は逃がさない、鉄人だ!鉄人で攻撃しろ!』
    3号 『鉄人、さあ行け!正太郎も2号もバラバラにしてしまえ!』
鉄人がバンワオーッと咆哮を上げロケットに点火、ヘリコプターに向かって突進する  (つづく) 

2006年08月31日

復刻版 正太郎日誌 ロビー復活9

  大塚  「鉄人が来るぞ!さあ正太郎君」
 正太郎  「はい!」 
リモコンのスイッチを入れる、この時ロビーの持っているリモコンからかすかに「プツッ」という音が漏れるが当然ながら気にも留めていない、
 正太郎  「ようし、今度はこっちの番だ、鉄人、あのロビーたちを粉々にしてしまえ!」
     ヘリコプターの手前で鉄人が反転、海岸にいる2体のロビーに向かって急降下する、

 ロビー4号 『ど・・どうしたんだ?こっちへ向かってくるぞ!』
    3号 『ち、違う、鉄人、目標はあっちだーっ!』
    4号 『うわーーっ!助けてくれ』
一瞬の出来事であった、2体のロビーは鉄人の急降下攻撃をまともに受け、木っ端微塵となり海岸にその残骸をさらしていた、

 正太郎  「やったぞ!」
  大塚  「見事じゃ!いやあ大成功じゃな」
 正太郎  「ロビー、見たかい?」
 ロビー  『ああ見た、これでロビーは僕だけになったな』
 正太郎  「そういうことだね」
 ロビー  『すべては終わった』
  大塚  「よおし、あとは地元の警察に任せて我々は引き上げよう」

一行は丸の内署に戻る、ロビーは頑丈な鎖で幾重にも縛られ地下房に入れられた、
 正太郎  「署長さん、このあとロビーは?」
  大塚  「うむ、明日にも解体処分されることになっとるよ」
 正太郎  「ロビーはそれを覚悟の上で僕のところに来たんでしょうか?」
  大塚  「まあ隙あらば逃走しようとは思っておったろうが、やはり覚悟は決めておったんじゃろうな」
 正太郎  「ロビーのプライドが高かったおかげで事件が一気に解決しましたね」
  大塚  「うむ、何が幸いするかわからんもんだね」
 正太郎  「じゃあ僕、帰る前にロビーの様子を覗いてみますよ」
  大塚  「何か気になることでもあるのかね?」
 正太郎  「ええ、あいつ、自分の始末は自分でつけるなんて言ってたんで、」
  大塚  「自分でつける?・・どういう意味じゃね?」
 正太郎  「さあ、」
  大塚  「気になるのう、一応体内を調べて爆発物などは持っておらんことは確認しとるんじゃが・・」
 正太郎  「様子を見てきます」
  大塚  「ワシも行こう」
正太郎と大塚がロビーの収監されている地下へ下りていくと階段の踊り場で警官と鉢合わせになる、
  警官  「あっ、署長、ちょうど呼びにいくところでした」
  大塚  「どうした?」
  警官  「ロビーの様子がおかしいんです」
  大塚  「おかしいとは?」
  警官  「とにかく来てください」

ロビーが収監されている房の前に立つ三人、ロビーはひとりでぶつぶつと何かつぶやいている、
 ロビー  『・・勝利した・・・勝利した・・世界中が・・・ロボットの国・・・勝利した・・・』
  警官  「さっきから壊れたテープレコーダーみたいに同じようなことを何回もつぶやくばっかりで・・」
 ロビー  『・・・人間を・・・滅ぼした・・・勝利した・・勝利した』
  大塚  「故障でもしたのかな?」
 正太郎  「いきなりこうなっちゃったんですか?」
  警官  「いえ、最初は警備している目の前の私に向かって話しかけてきたんです、私も手持ち無沙汰だったもので相手をしていたんです、最初はこうなってしまったことはとても残念だということを言っていたんです、負け惜しみも言ってました、するとそのうちありもしない嘘ばかりベラベラ喋り始めたんです、僕は鉄人よりも強いロボットをついに完成させた、そのロボットを大量に生産して鉄人もオックスも破壊して、邪魔な敷島博士や正太郎君や大塚署長も殺して・・あっ、すみません(苦笑)ええと、それで・・僕のロボット軍団が東京を皮切りに日本中の都市を攻撃して人間どもを追い払って・・日本を最初のロボットの国にすることに成功した・・なんてことをあれこれ得意気に私に話すんですよ」
  大塚  「ふむ、そんな嘘八百をのう、やはり狂ったのかな?」
 正太郎  「・・・・・・・・」
  警官  「それで・・日本を占領したロボット軍団はアメリカ、中国に進出して次々と拠点を築いていったっていうホラを吹いている途中で喋りがだんだんおかしくなったんです、支離滅裂になっちゃってこんな具合に・・やっぱり故障でしょうか?」
 正太郎  「署長さん、ロビーは嘘を言い続けることで自分の頭脳をわざとマヒさせたんじゃ?」
  大塚  「そういえばあまり嘘を言い続けると電子頭脳がショートしてしまうとか言ってたな」
 ロビー  『・・・勝利した・・・ロボットの国・・・ロボットの星・・・』
  大塚  「こいつは最後まで負けを認めたくなかったんじゃな・・」
 正太郎  「ロビーのプライドがそれを許さなかったんでしょう」
  警官  「そういうことだったんですか」
  大塚  「最後まで人間を敵視したまま自決してしまったのう・・」
  警官  「あの・・署長、ロビーの奴、こんなこともちょっぴり話してたんですけど・・」
  大塚  「うん?」
  警官  「少し意外な態度を見せていた時があったんですよ、僕はロボットの国を作るために人間を残らず滅ぼすつもりでいたけど・・もしかしたら共存することも可能だったかもしれないと・・・」
  大塚  「ほほお、こいつがそんなことを・・?」
  警官  「そしたらコイツ、すぐに慌てて否定はしてましたが、そんな態度を見せたことが私にはちょっと意外でしたよ」
 正太郎  「署長さん、ロビーは残りの2体のロビーを始末するために人間の力を借りるという決断をしたんです、もちろん不安だったことでしょう、いきなり壊されてしまうこともあるわけだし・・でも幸い聞き入れてもらえてこうして人間との共同作戦で目的を達することができたんです、この思ってもみなかった経験がロビーの思考に影響を与えたんじゃないでしょうか?」
  大塚  「そういうもんかねえ」
 正太郎  「冷酷で傲慢なロボットだったけど最後の最後にそんなことを考えてくれたなら・・何だか少しほっとしますねえ?」
  大塚  「そうじゃなあ・・」

      正太郎日誌  ロビー復活  (完) 

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