大塚 「(カメラを回しながら) ほれほれ敷島さん、イヤミの決めポーズじゃ」
敷島 「もう、わかりましたよ、シエーーッ!」
正太郎 「ダメダメ!ぜ~んぜんダメ!動きにキレがないですよ、もっとこういう風にシャープな動きで・・シエーーッと」
敷島 「こうかね?シエーーッ」
正太郎 「もっとグッとアゴひいて!」
敷島 「いちいちうるさいねえ、シエーーッ!」
正太郎 「あはは、いい感じになった」
大塚 「じゃあ敷島さん、さっきのCMをイヤミ風にやってごらんなさいよ」
敷島 「イヤミって・・ざんすとか言うんだよね?」
正太郎 「そう、それでウヒョヒョヒョヒョって笑うんです」
敷島 「じゃあ・・シエーーッ!私は敷島ざんす」
正太郎 「私じゃなくてミーって言ってくださいよミーって」
敷島 「シエーーッ!ミーは敷島ざんす!みんなミーの新しいフィギアを買うざんすよう、ウヒョヒョヒョヒョ」
正太郎 「あははは、最高!」
敷島 「・・・ミーはもう情けないざんす」
大塚 「いやあ、おもしろい映像が撮れたな、正太郎君、今の映像見てみるかね?」
正太郎 「あっ見せて見せて!」
大塚 「じゃあこのファインダーを覗いてごらん・・いいかな?「再生」を押すよ」
正太郎 「(ファインダーを覗きながら) あははは、これが僕?バカ丸出しだあ」
こうして待ち時間に楽しいひと時を過ごした三人であったが後日このふざけた映像がとんでもない悲劇を、いや喜劇を生むことになるのだ、
翌日 ドリーム玩具本社 社長室
太田 「じゃあ、一応見せてくれ」
監督 「はい」 ( カメラをテレビにつなぎ再生ボタンを押す )
テレビ 『こんにちは金田正太郎です、ドリーム玩具から僕の新しいフィギアが・・・・・ 』
太田 「うん・・正太郎君のは特に問題ないな、このまま使おう」
テレビ 『ご機嫌いかがですか、敷島です、私の新しいフィギアを・・・・・・ 』
太田 「そうだなあ、敷島さんの映像はもう少し明るさを抑えてみてくれ・・・あとは特にない」
監督 「わかりました、2~3日中にBGMと字幕スーパーも仕上げておきますので」
太田 「ああ、よろしく」
監督 「では、そういうことで」 ( 映像を止める )
太田 「あれっ?ちょっと待て、何だ今映ったのは?」
監督 「えっ?」
太田 「止める直前に変な映像が映ってたぞ・・なんか正太郎君みたいに見えたが・・」
監督 「ああ・・これは待ち時間の間にみなさんがお遊びで撮ったやつでして」
太田 「ちょっと見せてくれ」
監督 「えっ?いやホントにふざけた映像なんですよ」
太田 「いいから見せろ」
監督 「あ・・はあ」 ( 再生ボタンを押す )
『僕正太郎だジョ~、みんな僕のフィギアを買ってくんないと・・』
『シエーーッ!ミーは敷島ざんす、みんなミーの新しいフィギアを・・・・』
太田 「わはははは!こりゃあ傑作だ!」
監督 「はあ、人間コスチュームを変えるとけっこうバカやっちゃいますね」
太田 「うん、これだ!これだよ!・・こりゃあイケる!」
監督 「はあ?」
太田 「最初の映像なんておもしろくも何ともない、これならインパクトはバッチリだ!」
監督 「こ・・この映像を使うっていうんですか?」
太田 「CMはな、1にも2にもインパクトだ、いいか、この映像に合うコミカルなBGMつけろ、それと映像のバックにアニメーションでいろいろオカズをつけるんだ、フフフ、こりゃあウケるぞう」
監督 「い、いいのかなあ?」
それからさらに二週間が経過した、初めてCMが放送されるというその日、敷島夫妻はテレビの前に陣取り歌謡ゴールデンショーが始まるのを待っている、やがて時報が午後8時を示すと、『みなさんこんばんわ、歌謡ゴールデンショーの時間です!今日も素晴らしい歌の数々をお送りします』
春江 「始まったわ!このオープニングのあとのCMがそれでしょ?フフフ、どんな風になってるのかしら」
敷島 「どんなって・・何度も言ってるだろ、ただ人形を手に持ってひと言サラッと喋るだけだって」
春江 「そりゃ聞いてるけど、あなたのテレビ映りがどんなかなあって」
敷島 「メイクとライトの当て具合でちょっぴりよそ行きの顔になってる程度さ」
オープニングが終わり「この番組は夢をお届けするドリーム玩具の提供でお送りいたします」という声が流れたあと・・
CM 『僕、正太郎だジョ~、みんな僕のフィギアを買ってくんないと僕泣いちゃうジョ~』
春江 「えっ?・・こういうCMなの?」
敷島 「そ、そんな!・・ま、まさかあ!」( と敷島が叫んだ直後 )
CM 『シエーーッ!ミーは敷島ざんすう、みんなミーの新しいフィギアを買うざんすよ~ウヒョヒョヒョヒョ』
春江 「な・・なんなのコレ?」
敷島 「あわ!・・あわわわ!」
その強烈なインパクトのCMは茶の間で大ウケしフィギア第二弾はまたも大ヒットとなったが
このCMが流れてからしばらくの間、敷島夫婦は一歩も表に出られなかったという
正太郎日誌 「続」Oh!フィギア (完)
