司会者 「それではこの辺でお別れいたします、来週のゲストは大御所、三波夏雄、森田英雄のお二人です、どうぞお楽しみに」
出演者一同カメラに手を振ってエンディングが終了しテレビ収録は終わった、
「はーーい、OKです、お疲れ様でした!」とスタジオにプロデューサーの声が流れる、
「お疲れ様!」 「お疲れえ!」 「お疲れさ~~ん!」
スタッフ、出演者が声をかけ合い三々五々スタジオを後にしていく、美空はるみが敷島の前を通り過ぎる、
敷島 「いやあ、素晴らしかったですよ、はるみさん!」
美空 「どうも」 ( 軽く一礼しただけでサッサと出て行ってしまった )
敷島 「えっ・・?」
自分に会いたかったと言ったわりにはえらくあっさりと通り過ぎてしまった美空はるみの態度にちょっと肩すかしを食らった感のある敷島、
太田 「いやあ、彼女このあとのスケジュールがかなり押してましてね、時間があれば敷島さんとゆっくり話したかったんでしょうが、残念ですな」
敷島 「はあ・・そうですねえ、大スターですもん、そりゃそうですね」 ( と都合よく納得する敷島であった )
歌のゴールデンショーの出演者およびスタッフ全員がスタジオを出て行き、後に残ったのはCM撮影班と敷島たちだけである、
スタジオの片隅に2種類の簡単な背景が用意されている、若者風の部屋、そして書斎風のセットである、
監督 「それじゃあまず衣装合わせとメイクをやりましょう、衣装さんメイクさんよろしく!」
正太郎と敷島にスタイリストが選んだ服が着せられる、正太郎には青いポロシャツ、敷島にはワインレッドのカッターシャツにダークグレーのジャケット、衣装合わせが終わるとヘアメイクで髪型を整える、さらに薄いファンデーションが顔全体に塗られ準備はOKとなった、
監督 「じゃあまず正太郎君からいきましょう」
正太郎 「はい、お願いします」 ( 若者風の部屋のセットのイスに腰かける )
監督 「(メモを見せ) セリフはたったこれだけです、特に演技とかしなくていいですよ、フィギアを手に持って笑顔でセリフをさらっと言ってもらうだけでけっこうですから」
正太郎 「ええと・・はい、わかりました」
監督 「とりあえずカメラを回します、リハーサルのつもりでやりますけど、もし問題なければ即OKってことにしちゃいますから」
正太郎 「はい、」
監督 「それじゃあいきます、ライト当てて!用意!3・・2・・1・・カチン!」
正太郎 「こんにちは、金田正太郎です、ドリーム玩具から僕の新しいフィギアが発売になりました、ぜひ君の部屋に飾ってやってください」
監督 「・・はい、OK!」
正太郎 「今のでよかったですか?」
監督 「ええもうバッチリ!さすが正太郎君だ、一発OKですよ」
正太郎 「ありがとうございました」
監督 「さあ次は敷島さんです、この調子でやっちゃいましょう、敷島さんのセリフはこれですので (メモを渡す)」
敷島 「あ・・はい」
( メモをじっくりと見てぶつぶつとつぶやきながら書斎風のセットのイスに腰かける )
監督 「じゃあいきますよ、用意!3・・2・・1・・カチン!」
敷島 「ごきげん・・いかがですか・・しき、しままま・・あっ、ごめんなさい!」
監督 「はいカット!大丈夫ですよ敷島さん、リラックスしていきましょう」
敷島 「はい・・スーーハーー( 呼吸を整えている )」
監督 「もう一度いきます、用意!3・・2・・1・・カチン!」
敷島 「ご機嫌いかがですか、敷島です、私の新しいフィギアをぜひあなたの元へお届けしたい、どうぞよろしく」
監督 「はいカット!」
敷島 「・・どうでしたでしょうかねえ?」
監督 「ちょっとねえ、笑顔がひきつってるんですよ、右の頬がヒクヒクッと動いちゃって・・」
敷島 「ひきつってましたか?」
監督 「気を取り直していきましょう、用意!3・・2・・1・・カチン!」
敷島 「ご機嫌いかがですか、敷島です、私の新しいフィギアを・・」
監督 「あっ!カット!・・・今度は鼻がヒクヒク動いてますよ」
敷島 「えっ、鼻が?( つい手で鼻を押さえる )」
太田 「監督、敷島さんの場合はダンディさが売りにもなっとるわけだから別ににこやかな笑顔である必要はないんじゃないかな?」
監督 「そうですねえ・・じゃあほんの少しはにかむような感じでいきましょうか?」
太田 「うん、それがいいと思うな」
監督 「じゃあ敷島さん、少し気恥ずかしそうな笑みでお願いします」
敷島 「はい・・実際かなり気恥ずかしいですしね」
監督 「じゃあほとんど今の素の状態でいけちゃいますね、よしここで決めちゃいましょう、用意!3・・2・・1・・カチン!」
敷島 「ご機嫌いかがですか、敷島です、私の新しいフィギアをぜひあなたの元へお届けしたい、どうぞよろしく」
監督 「はいOK!いやあそのはにかんだ笑顔、なかなかシブかったですよう、バッチリです!」
敷島 「そうですか、ありがとうございます」
監督 「社長、これでよろしいですか?」
太田 「うん、OKだ、正太郎君、敷島博士、どうもお疲れ様でした、お二人ともギャラなどお受け取りになる方ではないことぐらい承知しておりますが、このあとせめて食事くらいはおごらせてください、よろしいでしょう?」
正太郎 「あ・・はい」
敷島 「はあ、ならばお言葉に甘えまして」
太田 「大塚、お前も付き合えよ」
大塚 「ほう、野次馬のワシにもおごってくれるんかい?」
太田 「ああ、その代わりこれから局の人間とちょっと打ち合わせがあるんでな、悪いが30分ほどここでお二人の相手をしててあげてくれんか」
大塚 「( おどけて )へへ~~社長様!」 (つづく)
