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次元を越えて 猫猫宮救出作戦~犬犬王の逆襲~9

バ春江は急ブレーキをかけて停止した、今確かに猫猫宮の念を感じた、ふりしぼるように「タカシ」と・・・気のせいではない、
間違いなく猫猫宮の想念であると確信したバ春江は心をより深く研ぎ澄ませて想いが伝わってきた方向を探る、

 バ春江  「・・・こっちよ!・・こっちだわ!」
そこから春江は注意深く移動を開始した、感じる・・どんどんと近づいていると感じる・・・もう少し・・・あともう少し、
そしてバ春江は何もない中空の世界の「ある地点」に立ち止まった、そこは一見見渡す限り何もない無の世界のように見えるが・・

 バ春江  「・・ここだわ!」
目には何も見えないが前に一歩踏み出せばそこに異次元空間があるということを春江は気配で悟った、手を前にそっと差し出してみると指先が次元の境界線に軽く触れた、それは決して強固な壁というものではない、精神世界においてそのような概念は意味を持たないのだ、
それはまるで卵の薄皮のような「空気の膜」であった、

春江は人差し指をペロッとなめると、その境界の空気の膜にそっと指を突き立てた、それはまるで障子紙に指で穴をあけ部屋の中を覗き込む行為と同じである、プスッと音がして空間に小さな「穴」があいた、そしてその穴からバ春江が目にしたものは・・・

 バ春江  「誰かの精神世界だわ!」
何やら怪し気な部屋に初老の男が立っている、その男が不乱拳博士であるということまでは春江にはわからない、しかしその男の発する強烈なオーラのようなものからこの男こそこの世界の中心人物だということがわかる、その初老の男のすぐそばに座ってうつろな目をしている女性、
「猫猫宮さんだ!」と春江は一目見て感じた、しかし前回会った時とはだいぶ顔が違うが・・・・

 バ春江  「・・・なんで顔が山田花子なの?」
少し戸惑ったもののすぐに察した、これは彼女を拉致した人間による無礼な仕打ちであろうことを・・・・
それにしても猫猫宮の表情がかなりうつろになっていることが気にかかる、拉致されたことによって彼女の敷島隆や横山世界への思いがかなり希薄になってしまっていることが伺えた・・さて、どうしたものか?

もちろん自分がこのまま飛び込んで行ってもとうてい勝ち目はない、一刻も早くこのことをバンワオーに知らせて猫猫宮を救出してもらわなければ!しかし春江は思った、何とか自分がこの世界の場所をつきとめたことを猫猫宮に伝えたい、
そして救出されるまでの間気持ちをしっかりと持っていてもらいたい、何とかしてあの初老の男にもこの世界の創造主にも気づかれることなく猫猫宮とコンタクトできないものかと・・・考えに考え抜いて春江はひとつの手段を思いついた、

この精神世界は想いこそがすべてである、今でこそ自分は敷島春江の姿をしているがひょっとして想いひとつで何にでも姿を変えられるのではないか?今自分が指であけたこの小さな穴でも通り抜けられるような小さな「虫」に変身することだって決して不可能ではないのでは?・・・そうだ、やってみる価値はある!春江は目を閉じ精神を集中させ自分自身に暗示をかけ始めた、

 バ春江  「私はハエ・・ハエ・・いや、ハエじゃなんか汚いわね・・じゃあそう・・ミツバチ!・・可愛いミツバチ!・・ミツバチ」
しばらくひとりでブツブツと念じ続けていた春江の体がパッとかき消えたかと思うと次の瞬間春江は見事に小さなミツバチに姿を変えていた、
 バ春江  「やったわ!想いの力ってホントに凄いのね」
精神世界の不思議さにほとほと感心させられた春江は小さな穴から犬犬王の世界に侵入したのだ!不乱拳にもこの世界の創造主にも決して気づかれないようできるだけ心を無心にして用心深く猫猫宮に近づいていく、ようやく猫猫宮の座っているイスの足にたどり着いた、

そこから不乱拳の死角になっているイスの裏側をそろそろと登り、まず猫猫宮の肩に着地した、そこで不乱拳の注意が他に向いていることを確かめた春江は一気に猫猫宮の耳元に飛び移った、

  猫猫  「・・うっ」
耳に何やら違和感を感じた猫猫宮はほんの少し体をくねらせる、猫猫宮の耳にとりついた春江は念でなく肉声で彼女に囁いた、
 バ春江  『猫さん!・・猫猫宮さん!』
  猫猫  「・・・えっ?」
けだるい虚脱感の中にいる猫猫宮はほとんど無意識でかき消えるような小さな声で返事を返す、
 バ春江  『私よ!春江よ!・・バンワオー世界の敷島春江よ!今あなたの耳元で喋ってるのよ!』
  猫猫  「・・・バンワオー世界の?・・春江?・・えっ?・・・春江さん?」
 バ春江  『そうよ、春江よ!』
  猫猫  「・・・幻聴にしては妙に生々しく聞こえるけど・・・ホントに春江さんなの?」
    (声はすれども姿は見えない・・やはり幻聴ではないのか?)
 バ春江  『あたし今想いの力で自分の姿をミツバチに変えたのよ、ほら見て』
     そう言って春江ミツバチは猫猫宮の鼻先にピタッと止まって見せた、
  猫猫  「これ・・・本当に春江さんなの?」  (つづく)

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2006年10月08日 23:18に投稿されたエントリーのページです。

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