猫猫宮の世界、敷島邸の広~いリビングに光の粒子が渦を巻きながら降りてきてそれが一組の男女のシルエットとなり一瞬まぶしい輝きを放つとバンワオー世界の敷島夫婦がその姿を現した、
バ敷島 「・・・ここが猫敷島さんの自宅かあ」
バ春江 「すごいわ~、いかにも上流階級って感じよね」
バ敷島 「うん、よく洗練させてるね、成金趣味的な雰囲気はまったく見られない」
バ春江 「きっとこの世界のあたしってバーゲンで目を血走らせて服の取り合いとか絶対しないわよね」
バ敷島 「そりゃそうさ、君じゃあるまいし」
バ春江 「なにそれ?なんか引っかかる言い方するじゃない?」
バ敷島 「あ、いや・・とにかく二人を探さないと」
バ春江 「そうね、精神を集中して二人の居場所をつきとめましょう、あの二人は私たちの分身みたいなものだからこの世界のどこにいたって「息づかい」を感じるはずよ」
バ敷島 「そうだな、心を研ぎ澄ませば猫敷島さんたちの念を感じ・・・あれ?」
バ春江 「・・・あなた?」 (顔を見合わせる二人)
バ敷島 「・・・春江」
バ春江 「あなたも感じた?」
バ敷島 「うん、感じた」
バ春江 「すぐ近くよね?」
バ敷島 「うん、すごく近い」
バ春江 「・・てことは、この家の中?」
バ敷島 「多分そうだ・・でも二階・・じゃあないみたいだけど」
バ春江 「下の方から感じない?」
バ敷島 「うん、そうだ、下だよ下!」
バ春江 「でもここは一階だから、その下っていうと・・」
バ敷島 「地下室だ!」
バ春江 「行ってみましょう」
リビングから廊下に出る二人、広い敷島邸は最近までメイドを雇っていたのだが犬敷島がクビにしてしまったので現在はまったくの無人であった、
いくつかのドアを開けながら地下室へとつながる階段を見つけた、
バ春江 「ここよ!きっとこの下よ!」
二人が階段を駆け降りると目の前に地下室の頑丈なドアがあった、敷島がドアノブに手をかけたが・・・
バ敷島 「だめだ、鍵がかかってるよ」
バ春江 「あなた、ちょっと私にやらせて」
バ敷島 「どうするんだ?」
バ春江 「こうやってあけるのよ」
ドアノブの前にしゃがみこみ頭からヘアピンを一本抜き取るとカギ穴に差し込んでガチャガチャやっている、
バ敷島 「お前・・できるのか?」
バ春江 「映画なんかでよくこういうシーンあるじゃない?あたしも興味本位でやってみたらねえ、
けっこう開けられたのよ、ちょっとしたコツがあるんだけどね」
バ敷島 「ふうん」
真剣な表情で鍵と格闘している春江、敷島はしばらくそれをじっと注目していたがかなり手間取っている様子である、
何気に敷島は周囲を見渡すと「ある物」を見つけた、
カチャカチャ・・・カチャ・・カチャカチャ・・・・カチャ・・・
バ春江 「も・・もう少しなんだけど・・こうして・・こうやって・・あっ!手応えがあったわ!もうこれで・・ああん失敗!でも感じが掴めてきたわ・・もう少し・・もう少しよ」
カチャカチャ・・・カチャカチャ・・・カチャ・・・カチャカチャ・・
バ敷島 「・・ねえ春江」
バ春江 「なによう?」
バ敷島 「もういいよ、そんなことしなくて」
バ春江 「いいってことないじゃないの、あけなきゃしょうがないでしょ」 カチャカチャ・・・カチャ・・
バ敷島 「だからそんなことしなくていいって・・」
バ春江 「何がいいのよ?」
バ敷島 「ほらコレ」
そう言って春江の目の前にブランとカギをぶら下げて見せる、ホルダーに『地下室』と記してある、
バ春江 「ど・・どこにあったの?」
バ敷島 「ほら、あそこ・・キーボックスになってたんだ、その中に入ってた」
バ春江 「いつ見つけたの?」
バ敷島 「う~んと・・3分くらい前かな?」
バ春江 「なんですぐ言わないのよ!」
バ敷島 「言ってもよかったんだけどね、けっこう君が気に入ってやってるみたいだったから・・」
バ春江 「もう!そんなつまんないことに気い使わなくていいわよ!」
春江はひったくるようにそのカギを手に取るとカギ穴に差しこみ回す、カチッと音がして鍵があいた、ドアノブを回して手前に引く、
ギギギーーという音とともに扉が開く、見るとひんやりとした地下室の床にロープで幾重にも縛られさるぐつわをかまされて転がされている猫敷島夫妻がいた!
バ春江 「いたわ!猫敷島夫婦よ」
二人が猫敷島夫妻の元へ歩み寄ると・・
猫敷島 「ム・・ムグググ・・・ググ、」
バ春江 「ムムム・・ムウウ・・」
必死にもがいて見せる二人、無理もない、当然ながら猫敷島夫妻は目の前にいる二人を犬敷島だと思っている、
バ敷島が猫敷島のさるぐつわを外すと・・・
バ敷島 「大丈夫ですか、猫敷島さん!」
猫敷島 「何が大丈夫ですかだ!人をこんな目に遭わせておいて!」
バ敷島 「あ、いや・・違うんです猫敷島さん、僕らは犬敷島じゃありません、バンワオー世界の敷島なんです」
猫敷島 「・・・猫だとか犬だとか何を言ってるんだ!」
バ春江 「あなた、口で説明してたんじゃらちがあかないわ、念を使いましょう」
バ敷島 「うん、そうだな」
バ春江は怯えた表情の猫春江の額に手を、そしてバ敷島は猫敷島の額にそっと手を当てる、
猫敷島 「な、なにをするんだ!」
バ敷島 「落ち着いてください、僕らは敵じゃありません、感じてください僕らの心を・・」
猫敷島 「・・・うっ!」
念(テレパシー)とはまことに便利なものである、わずか数秒で猫敷島夫婦はこれまでの事情を正確に把握したのだ、
自分たちが猫猫宮という創造主に造られた存在であり以前バンワオーの世界とコラボしたことなどをすべて思い出していた、
猫敷島 「・・そうか・・そうだったのか」 (つづく)
