ついに鉄人は恐竜ロボットの巨体を海面に引っ張り上げた、空高く持ち上げるにはウエイトがあり過ぎるため鉄人をもってしても無理であったが中途半端な形で持ち上げられ、前足のみをバタつかせている、
金田 「島田君、今だ!」
島田 「ようも足をちぎってくれたのう、これを喰らえ、照準よし、撃てーっ!」
雷人の指がキャノンの引き金を引く、ドゴゴゴーーン!凄まじい音と反動、雷人の体が大きく後方に吹っ飛ぶ、ズガガガーーン!
雷人キャノンの18インチ砲が恐竜ロボットの首の付け根に命中
「うわわわーーっ!」
耳をつんざくような衝撃音が乗員を襲う、恐竜ロボットの首の付け根がグニャリと変形してしまった、至近距離で大口径の砲弾を受けても大破しないというのも驚異だが、しかしその外装は限界にきていた、鉄人の腕はまだしっかりと首に巻きつき恐竜ロボットの動きを封じている、
島田 「ようし、もう一丁や!」
雷人がコンテナから砲弾を取り出し装填する、照準を合わせ再び引き金を引く、ズガガガーーン!今度は恐竜ロボットの首の付け根は完全に大破し、大穴があいた、
島田 「金田君、今や!あの首引きちぎったれ」
金田 「よしっ」
鉄人が引っ張る力にグイとひねりを加える、メキメキ・・バキバキーン!装甲が悲鳴を上げついに恐竜ロボットの首は根元から引き抜かれてしまった、首を失った大穴の部分から内部が見てとれる、乗員が慌てふためく様も垣間見えた、
島田 「ええぞう、金田君、よっしゃとどめや、あの穴にレーザービーム砲をブチ込んだるわい」
雷人がキャディに雷人キャノンを収め、次いでこれまた大型のレーザーガンを取り出した、肩に担いで身構える、
海上自衛隊 潜航艇
艇長 「五十嵐さん、本部から連絡です、至急だそうですが・・」
五十嵐 「私だ・・どうした?うん・・うん・・何い!その報告は確かか?・・うむ、わかった、島田君待ってくれ!攻撃は中止だ」
島田 「な・・何でですの?」
五十嵐 「今入った報告によるとイワノフはS国の核施設からプルトニウムを盗み出していたそうだ」
島田 「プ、プルトニウムいうたら水爆の材料やないですか?」
五十嵐 「水爆5個分がそっくり消えたそうだよ」
金田 「それじゃあ恐竜ロボットの中にプルトニウムが?」
五十嵐 「プルトニウムの容器が破損でもしたらこの海域は千年以上死の海になってしまう」
島田 「あ~こわ、もうちょっとでプルトニウムごと吹っ飛ばしてしまうとこや」
金田 「とどめを刺す必要はないんじゃないかな?胴体にあんな大穴があいたらもう潜行はできないし、ろくな武器もないんじゃ?」
島田 「それもそやな」
恐竜ロボット 操縦室
イワノフ 「か・・各部、被害状況を報告しろ!」
スピーカー 『こちら動力室、今の衝撃で回線に異常、出力50%減」
『CデッキとDデッキに浸水!』
操舵手 「少佐、首を失ったので艦の重量バランスが取れません」
『居住区に火災発生!消化装置が作動しません!』
ポトフ 「少佐・・もうこれまでです」
イワノフ 「馬鹿なことを言うな!まだ戦えるぞ、対空砲火を浴びせろ、砲門を開け!」
アンドレ 「無駄です、あんな小さな火力で鉄人に対抗できるわけがないでしょう?」
イワノフ 「弱音を吐くな!さっさと持ち場につけ、攻撃するんだ!」
ポトフ 「無駄です・・降伏しましょう少佐」
イワノフ 「こ・・降伏だと?」
ホルスターから銃を抜きポトフに突きつけるイワノフの目はすでに常軌を逸して狂気に満ちている、
ポトフ 「少佐・・」
イワノフ 「命令に背くというならこの場で射殺するぞ、さあ命令に従うか、それとも頭をブチ抜かれたいか、どっちだ?」
ズキューーン!・・・イワノフの背後から一発の銃声、
イワノフ 「あ・・うっ・・」
床に両膝をつき、ゆっくりとふり返るイワノフ、
イワノフ 「アンドレ・・・貴様・・」
アンドレ 「少佐、ゲームはもう終わったんだ」
イワノフ 「う・・・」
うつろな目をしたまま床に転がるイワノフ、権力にとりつかれた男の哀れな末路であった、
アンドレ 「シーツを持って来い、それを白旗代わりにしよう」
恐竜ロボットは首をもがれたまま海上で動きを停止している、その両脇を鉄人と雷人ががっちりと固めている、
金田 「動きがありませんね」
島田 「万策尽きたってことやないか?・・・あっ!」
恐竜ロボットの胴体のハッチが開き、二人の将校が白旗代わりのシーツを大きく振っている、
五十嵐 「白旗だ、降伏したんだ!」
島田 「やっぱりお手上げやったんや」
金田 「やったね島田君」
島田 「うん」
五十嵐 「艇長、司令部に現在位置を連絡してくれ」
艇長 「はっ」
五十嵐 「金田君、島田君、いやありがとう、本当にご苦労様でした」
島田 「へへ、どうでっか局長はん、雷人の力は?」
五十嵐 「うん、たいしたものだ、しかしあの強力過ぎる武器は法的にちょっと問題があるんじゃ?」
島田 「ま、まあ・・そういうことはこの際置いといてもろてやね(苦笑)」
大塚 「君塚さん・・何かワシら、ただ座っとっただけで・・」
君塚 「ほんま、影が薄うおまんなあ(苦笑)」
正太郎の声 「死亡したイワノフを除いて他の乗員は全員海上保安庁の巡視船に収容され、盗まれたプルトニウムとともに密かに本国に送還された、今回の件に日本政府は一切関知していない、鉄人と雷人の活躍も闇に葬られたわけだが、雷人には約束どおり年間の維持費の30%を国が負担していくこととなった、雷人は一時国内で鉄人と人気を二分する程メジャーな存在となった、しかし高度経済成長が終焉を迎え、その後訪れた深刻な不況の波に関西の協賛メーカーは次々と離れていき、維持が不可能となった雷人は誕生から5年を待たずして博物館行きとなってしまった、また雷人の操縦者として一躍有名人となった島田正太郎君は持ち前の明るさとギャグのセンスを買われ、なんとあの吉本興業にスカウトされた、彼は今、若手お笑い芸人として関西を中心に活躍している」
浪速の正太郎 (完)
