正太郎の声 「ある年、地球の近くを通過した小惑星イリスの引力に引っ張られていくつもの隕石群が地球の大気圏に突入し、時ならぬ天体ショーを見ることができた、そのほとんどは大気中で燃え尽きてしまったが燃え残った隕石のひとつが招かれざる訪問客を伴って秩父山中に落下したのだ」
午前8時 正太郎邸の電話のベルが鳴る、
正太郎 「はい、金田です」
大塚 「おお、正太郎君、ワシじゃ」
正太郎 「ああ、親父さん、何かあったんですか?」
大塚 「昨日、秩父山中の明神岳へ登山に出かけた三人が時間になっても戻らんのでな、地元の警察と消防が明け方から山を捜索していたんじゃが今朝その三人が遺体で発見されたんじゃ」
正太郎 「三人とも遺体で?・・事故なんでしょうか?」
大塚 「それなんじゃがね、三人とも体中の血液を吸い取られてまるで干からびたミイラのような状態だったそうじゃ」
正太郎 「体中の血液を?・・それじゃまるであの時みたいに?」
大塚 「その二日前に明神岳に隕石が落下したという報告がある」
正太郎 「また・・あの生物がやってきたんでしょうか?」
大塚 「状況から察するにその疑いは濃厚じゃ、その一報を受けて全員を山から至急避難させた、今本庁の特殊部隊が明神岳に向かっておる」
正太郎 「特殊部隊?」
大塚 「全員がガイガーカウンターと強力なスタンガンを所持しておる、それにフルフェイスの防護服を着用している、地肌をさらすとそこにヒルのように食いつかれるからのう」
正太郎 「なるほど、でもスタンガン程度の電流で対処できますかね?」
大塚 「ある程度のダメージは与えることはできるだろうが致命傷とまではいかんじゃろう、そこでさっき敷島博士と相談したんじゃ」
正太郎 「ええ」
大塚 「鉄人の手のひらに体内の高圧電流が流れるような改造をしようということになってね」
正太郎 「そうか、ただ掴んだだけじゃスルッと逃げたりちぎれて分裂したりしますしね」
大塚 「そうじゃ、だから鉄人が触った瞬間に高圧電流をお見舞いしてやれば・・」
正太郎 「完全に動きを封じられるか又は殺せますね」
大塚 「うむ、」
正太郎 「そりゃあ名案ですよ」
大塚 「幸いさほど大がかりな改造というわけでもないそうで昼までには終わらせるということじゃ、君は出来次第鉄人とともに明神岳のふもとまで来てくれ、ワシは今から現場に向かう」
正太郎 「わかりました、なるべく早く行きますから」
大塚 「うむ、待っておるぞ」(電話が切られる)
敷島研究所 正太郎が着いた時はすでにドッグで鉄人の改造が始まっていた、
正太郎 「(ドッグの入り口から中へ) 博士、」
敷島 「やあ正太郎君、もう話は聞いたね?」
正太郎 「はい、作業はあとどれくらいで終わるんですか?」
敷島 「うん、あと30分くらいだ、警視庁のヘリがこちらに来るそうだから鉄人と一緒に現地に飛んでくれたまえ」
正太郎 「わかりました、鉄人の手に電流を流す操作はどうやるんですか?」
敷島 「AボタンとCボタンを同時に押せば流れるようにしてあるよ」
正太郎 「AとCを同時ですね?わかりました」
約一時間後 正太郎の乗り込んだヘリコプターは鉄人とともに研究所を飛び立ち明神岳へと向かった、現場では山のふもとを特殊部隊が固め鉄人の到着を待っていた、
谷口警部 「署長、配置を完了しました、指示通り10メートル間隔に一名を横一列に並ばせております」
大塚 「うむ、ガイガーカウンターに反応は?」
谷口 「いまのところ報告はありません」
大塚 「通信網に抜かりはないな?」
谷口 「はい、全員の無線が本部で傍受できます」
大塚 「全員に話せるか?」
谷口 「はい、これでどうぞ」(マイクを渡す)
大塚 「大塚じゃ、間もなく鉄人が到着する、到着次第各自前進しろ、ガイガーカウンターの反応を見逃すな、くり返し言っておくが生物の位置を特定するだけでいい、捕獲は鉄人に任せて無理はするな、支給したスタンガンは主に護身用として使用するように、防護服も絶対安全とは言いきれんから過信は禁物じゃ、くり返すが無理はするな、なお相手は岩や樹木に姿を変えている可能性もある、外見はあてにならん、ガイガーカウンターの反応だけが頼りだ、十分に注意してくれ、以上だ」
(ほどなく鉄人の飛行音が聞こえてきた)
谷口 「署長、鉄人が来ましたよ」
大塚 「うむ、やっと来てくれたか」 (つづく)
