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第五章 「決戦の序曲」

正太郎  「なぜそれがわかったんですか?」
  大塚  「サンフランシスコから神戸に向けて出港した貨物船「海洋丸」が太平洋上でシーザーと他のロボットたちに占拠されてしまったんじゃよ、シーザーの目が光っていて救助信号を打つこともできず日本の領海に入ったところで船の動力と通信設備を破壊して船を離れたそうじゃ、海洋丸は身動きもできず三日間海上に漂流しておったそうじゃが幸い海上保安庁の巡視船に発見されて事の真相がわかったということなんじゃ」
 正太郎  「じゃあもう日本国内のどこかに上陸してるんでしょうか?」
  大塚  「そのように考えるべきじゃがどこに上陸したのかがわからんのだ、船を離れた位置から考えると四国か紀伊半島、又は伊勢湾に入ったか・・いろいろ考えられるからね」
 正太郎  「わかりました、とにかく鉄人を連れてなるべく早く帰りますから・・」
  大塚  「頼むぞ、ところで鉄人に電子頭脳を搭載したと聞いたが?」
 正太郎  「ええ、すっかり鉄人と仲良しになりましたよ」
  大塚  「仲良し?・・ふむ、仲良しにのう」
 正太郎  「それに今敷島博士が他のロボットを無力化できる装置を作っているんです、明日までには出来上がるそうですから完成しだいすぐに・・」
  大塚  「うむ、待っておるぞ、一刻も早く帰ってきてくれ」 (電話が切られる)
  敷島  「正太郎君、シーザーが日本へ?」
 正太郎  「はい、貨物船を乗っ取って・・」
  平林  「こりゃあぐずぐずしていられない、博士、今日中にこれを何とか仕上げましょう」
  敷島  「うん、そうしよう、正太郎君、帰国の準備だ、それと鉄人にもこのことを知らせてやりなさい」
 正太郎  「わかりました」
  敷島  「ジムさん、お聞きの通りです、至急鉄人と今作っている装置を日本に運ばなければなりません、手配をお願いできますか?」
  ジム  「はい、さっそくチャーター機を用意します、鉄人はどうやって運びますか?」
  敷島  「船では日数がかかり過ぎますから鉄人自身を飛ばします、途中何度か給油しなければなりませんがそれがいちばんの早道でしょう」
  ジム  「わかりました、ではそのように・・」
(鉄人のいるドック)
  鉄人  「シーザーたちが日本へ?ずいぶん遠くまで行ったんだね」
 正太郎  「うん、たまたま乗っ取った船が日本の貨物船だったんだ」
  鉄人  「じゃあ僕たちも日本へ行かないと」
 正太郎  「そうなんだ、明日出発するよ」
  鉄人  「わかった、シーザーたちの居所はわかっているの?」
 正太郎  「まだわからない、でもじっとしてる筈がない、そのうち動き出すよ」
  鉄人  「そうだね、急いで行こう、日本へ」

正太郎の声 「翌日僕たちはベラネード産業のチャーター機で空港を飛び立った、鉄人は工場を飛び立って僕たちと合流、鉄人は大きな燃料の予備タンクを抱えて出発した、サンフランシスコからハワイまで飛び、給油とエンジン調整をして一路日本へと飛び立ったのだ、出発より15時間後、鉄人は敷島研究所に降り立った、敷島博士の依頼で大塚署長は
       警視庁のヘリコプターに乗って来てくれた」

  大塚  「正太郎君、博士、いやあしばらく、今回は大変でしたな」
 正太郎  「親父さん、生まれ変わった鉄人に会ってやってください」
  大塚  「フフ、会うといっても、しょっちゅう見とるんじゃが・・」
  鉄人  「おはようございます、大塚署長さんですね」
  大塚  「うほっ、口をきいたぞ!」
 正太郎  「親父さん、それくらいで驚いてちゃだめですよ」
  大塚  「ああ・・そうじゃったな、サンフランシスコでシーザーに惨敗したと聞いたが・・」
  鉄人  「大丈夫です、今度こそ負けません」
  大塚  「うむ、頼りにしておるぞ」
  敷島  「大塚さん、このヘリにかく乱装置を取り付けさせてもらいます」
  大塚  「お願いします、他のロボットを無力化してしまえるそうですな?」
  敷島  「ええ、ほとんど動けなくしてしまいますからかく乱というより「遮断」といった方が正確でしょう、最長500メートルの距離から狙えますが近づけば近づくほど効果は甚大です」
  大塚  「そいつは素晴らしい、すると問題はシーザーだけですな?」
  敷島  「ええ、そいつがいちばんやっかいなのです、シーザーには近代兵器はあまり効果を望めません、ミサイルの標準をロックされると素早く特殊な妨害電波を出して照準を狂わせてしまいます、かといって人間が手動で狙ったのではあの動きの速さについていけず命中率も悪くなりますし、仮に数発くらったところであの装甲ではビクともしません」

  大塚  「う~ん・・なるほどのう」
 正太郎  「親父さん、だからこそ鉄人が頼みの綱なんですよ」
  大塚  「まったくじゃ、ところでこの先シーザーは何をやらかすつもりじゃろう?」
  敷島  「やはり基本的にはロビーと同じことをするでしょう」
  大塚  「するとどこかにこっそり基地を作って部下のロボットを生産しようと・・」
 正太郎  「親父さん、そのやり方だとかなりの時間を要するでしょう、相手はあの強気のシーザーですからね、もっと思い切った手段に出てくるような気がしますよ」
  大塚  「うむ、不気味じゃな・・いや、不気味を通り越してはっきり恐ろしいわい」 
正太郎の声 「僕の不安はやはり的中してしまった、それより二日後、シーザーは思ってもみなかった暴挙に出たのだ、愛知県のT市、日本が世界に誇るトーヨー自動車の本社工場、及び関連企業が密集する一大企業都市である、この日は半期に一度全重役が集まる定例会議が行われていた」

 進行役  「え~、それでは次の案件に移りたいと思います、資料の7ページをめくって・・・」
        ゴーーーッ、もの凄いエンジン音が近づいてくる、
  社長  「何だね?飛行機にしては近過ぎないか?」 (重役の一人が窓の外を見る)
 重役A  「あっ!あれは」
    突如4体のロボットが上空から本社ビルの前に着地した、シーザー、それにモンスターがファイア2世と3世を両脇に抱えている、
 重役B  「ニュースでやっていたロボットたちだ!」
 重役C  「社長、すぐに避難を!」
    全員が出口に駆け出そうとした時、シーザーの拳が本社ビルの壁に撃ち込まれた、
      「うわわわっ!」(激しい揺れが起こり一同その場に身を伏せる)
シーザー  「トーヨー自動車の重役諸君、私はシーザーだ、死にたくなければ私の指示に従え、さもなくばビルごと粉々にしてやるぞ」
 重役A  「しゃ、社長・・あいつあんなことを!」
  社長  「と、とにかくみんな落ち着け、刺激しちゃいかん!」
シーザー  「君達には人質になってもらおう」

およそ一時間後、敷島研究所の電話がけたたましく鳴った、
 正太郎  「博士、シーザーが姿を現しました」
  敷島  「どこなんだ?」
 正太郎  「愛知県のT市です、トーヨー自動車の本社です」
  敷島  「T市か・・」
 正太郎  「社長以下、重役二十数名が人質に取られているそうです」
  敷島  「なんと・・」
 正太郎  「親父さんが今ヘリでこちらに向かってます」
     正太郎、敷島、平林の乗り込んだヘリが一路T市に向かって飛んでいる、
  敷島  「現場の状況はどうなっていますか?」
  大塚  「トーヨー自動車本社前に現在も4体のロボットが陣取っています、ついさっき連絡を受けたんですが・・まずいことに・・」
  敷島  「何です?」
  大塚  「その・・人質全員がモンスターの体内に閉じ込められたというのです」
 正太郎  「モンスターの体内?あの小型モンスターの入っていたスペースに?」
  大塚  「そういうことじゃ、これで救出するのは困難を極めることとなった」
 正太郎  「うかつに攻撃もできませんね」
  大塚  「うむ、自衛隊もシーザーに撤退を命じられてしぶしぶ引き上げているという」
  平林  「シーザーは重役を人質に取って何を要求してるんですか?」
  大塚  「うん、T市にはトーヨー自動車の大規模な工場がいくつもある、その設備を利用して自分の複製を大量に作らせようとしておる」
  平林  「なんて強引なマネしやがるんだ!」

愛知県T市、本社を占拠したシーザーに呼び出され工場関係者が恐る恐るやって来た、
シーザー  「いいか、市内の三つの工場ラインを切り替え、私の複製を生産する準備をするのだ」
 工場長  「そ・・そんな無茶な」
シーザー  「無茶な話ではない、私は市内の工場設備の分析をした、さすがは世界のトーヨー自動車だけあって素晴らしい設備を持っている、
       欲を言えばこの国に大きなロボットメーカーがないのは残念だが技術的にはここも遜色はない、すぐに生産計画に着手し、
       私のところに今日中に持って来い、当面の目標は50体だ」
 工場長  「ご、50体・・!」
シーザー  「話は以上だ、行け」
 工場長  「わ・・わかった」(工場関係者が戻り始めると・・)
シーザー  「工場長、念のために言っておくが」
 工場長  「な、何だね?」
シーザー  「私は市内の工場設備を詳しく分析したと言った、私の計算でも大まかなスケジュールは出来ている、お前が持ってきた
       生産計画にもし時間稼ぎの意図が見られたらためらわず人質のひとりを殺す」
 工場長  「うう・・そんな、」
シーザー  「世界のトーヨー自動車の実力を示せ」
 工場長  「・・・・・・・・」

T市へと向かうヘリコプターの機内
 正太郎  「シーザーが今日定例会議があるという情報を事前に掴んでいたんでしょうか?」
  敷島  「間違いないだろう、シーザーは高性能の送受信システムを搭載していてあらゆる通信を傍受できるからね、それを利用して情報を得たんだと思う」
  大塚  「大勢の人質を取って要求を聞かせるとは大胆なことを考えたもんですな」
  平林  「そんなことを世界のあちこちでやられたら手がつけられませんよ」
 正太郎  「だからどうしても今日、かたをつけてしまわないと・・」
  敷島  「うん、さてどうやるかだが大塚さん、現場の上空には今もヘリが何機かは飛んでるんですか?」
  大塚  「はい、マスコミや警察のヘリが数機飛んでいますが、まあシーザーにしてみればハエが遠巻きに飛んでいるくらいに思っているようで手出しはしていないようです」
  敷島  「するとこのヘリも近くまでは接近できそうですな?」
  大塚  「はい、何とか」
  敷島  「人質が閉じ込められているモンスターとそれをガードするファイア2世と3世に極力近づき、かく乱の電磁波を放射する、だが即座にシーザーは3体のロボットの操縦に異常が発生したことに気づき、搭載されているレーダーでその発信源がこのヘリコプターだとすぐに察知することでしょう」
  大塚  「そうなるとすぐにこのヘリを襲いに来ますな」(身震いする)
 正太郎  「大丈夫です、シーザーが向かって来たら鉄人が迎え撃ちますよ」
  大塚  「それに賭けるしかないな・・」
     正太郎が小型通信機で鉄人に呼びかける、通信機はずっとONのままになっている、
 正太郎  「鉄人、話は聞いたかい?」
  鉄人  「うん、聞いたよ、僕もそれしかないと思う、シーザーのレーダーに感知されないように僕だけは50キロ手前から極力低空飛行で行こうと思う」
 正太郎  「山とか家にぶつからないようにね」
  鉄人  「わかった」
 正太郎  「鉄人、いよいよ決戦だよ」
  鉄人  「うん!」
やがて正太郎たちの乗ったヘリはT市上空にさしかかった、
  大塚  「正太郎君、鉄人はどこまで来ておるのかな?」
 正太郎  「(通信機に) 鉄人、今どこだい?」
  鉄人  「東名高速と国道248号が交差する地点だ、ここから国道沿いに北上するよ」
 正太郎  「そうか、すぐ近くだね、それじゃあ突入するよ」
  鉄人  「うん、行こう」
 正太郎  「親父さん、やりましょう」
  大塚  「うん、(パイロットに) トーヨー自動車の本社まで飛んでくれ」
パイロット 「わかりました」
  大塚  「博士、かく乱装置の準備は?」
  敷島  「いつでもOKです」
  大塚  「よし、突っ込もう!」   (つづく)

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2006年08月15日 11:47に投稿されたエントリーのページです。

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