二人はエレベーターで1階 展示ルームへ、 さまざまな試作品が並んでいる、アンダーソンと正太郎、その一つの前に立ち止まる
アンダーソン 「これがファイア博士の最新作だよ」
体長5メートルほどの人間型ロボット、一見したところかつてのファイア2世を髣髴させるが体型はかなりスリムな感じで腕に各種のアタッチメントを装着できる仕組みになっている、胸に『F-4』と刻まれている、
正太郎 「これは・・?」
アンダーソン 「土木作業用ロボットF-4、仲間内じゃあ冗談めかしてファイア4世なんて呼んでるよ」
正太郎 「ファイア4世?」
アンダーソン 「こいつ一台で基礎工事の掘削と鉄筋の組み立て、コンクリートの打ち込みなんかをほとんどやってのけるんだ、つい最近この裏に新しい研究棟が完成したんだけどこのF-4が基礎工事のほとんどをこなしたんでコストが30%ほど浮いた」
正太郎 「へえ・・」
アンダーソン 「やっぱりファイア博士の技術力は本物だよ」
正太郎 「そうですねえ、」
アンダーソン 「デザインにしても博士が自分で考案したんだけど何となく昔作ったファイア2世をベースにしてるようだ、でもファイア2世みたいに人を威圧するような形じゃない、顔の造りもぐっと上品になってるだろう?」
正太郎 「ええ、そう思います」
アンダーソン 「僕はね、これは博士自身が変わったっていう一つの証拠だと思ってる」
正太郎 「それは作者の人格が形になって現れるということですね?」
アンダーソン 「そう、僕が以前の部署にいた時期を含めて博士と仕事をするようになってもう六年になるけど実に気のいいじいさんだと思ってる、時々我がまま言って困らせるけどそいつは科学者特有の気質だからしょうがない、二十年前にあんな大それたことやらかした人だなんてちょっと思えないよ」
正太郎 「・・そうでしたか」
アンダーソン 「金田さん、人間って変われる生き物なんだね?」
正太郎 「ええ・・」
アンダーソン 「ずっとまわり道をしてしまったけれど・・」
正太郎 「・・・・・・・・・」
アンダーソン 「僕が神様ならもう許してあげるんだけどな(苦笑)」
正太郎 「日本の言葉にこんなのがあります」
アンダーソン 「うん、」
正太郎 「終わりよければすべて良し」
アンダーソン 「・・終わりよければ・・か」
正太郎 「はい、」
パガオニア科学アカデミー近くのホテル、正太郎がローブ姿でバスルームを出る、
正太郎 「う~~っ、さっぱりした~」
敷島博士はホテルに入っても図面とファイルに釘付けとなっている、
正太郎 「まだやってるんですか?もう6時間くらいぶっ通しですよ」
敷島 「ああ・・そんなに?」
正太郎 「そうですよう、」
敷島 「そう言われたら、疲れたなあ」
正太郎 「言われないとわかんないんですか?」
敷島 「ああ・・こんなにのめり込んだのは久しぶりだよ」(首をぐるぐる回す)
正太郎 「まあ、それだけ価値があるってことはわかりますけど・・」
敷島 「価値もあるが、こりゃあ予算を食うよ、年間の開発費が半分以上ふっ飛ぶ・・」
正太郎 「うわ~、それ痛いですねえ」(顔をしかめる)
敷島 「じゃがこの開発はやらねばならん」
正太郎 「ええ、まあとにかくそれくらいにしてひとっ風呂浴びてくださいよ」
敷島 「そうじゃな・・そうするか(ネクタイを緩めながらバスルームを覗くと)おう、おう・・やっぱりホテルのバスルームってのは小さいなあ」
正太郎 「バスタブはやめてシャワーにしたらどうです?」
敷島 「いやあ・・シャワーなんかじゃ風呂に入った気がせんよ・・それにしても、なあ正太郎君、」
正太郎 「何ですか?」
敷島 「この街に展望大浴場のあるホテルはないのかねえ?」
正太郎 「温泉旅館じゃないんだから(苦笑)」
帰国途中の飛行機の中、敷島博士はシートを倒し小さないびきをかいている、正太郎は窓の外の雲海をぼんやりと眺めている、
正太郎の声 「敷島博士とビッグファイア博士は三日間にわたって鉄人の駆動システムの変更とその諸問題について協議し合った、僕はといえばアカデミーの主催するいくつかのセレモニーに出席したりこの国のマスコミの取材に応じたりと親善大使のような役割を務めて帰国の途についた、帰ったら改造計画を実行に移すための雑多な仕事や手続きが待ち受けている、大塚の親父さんに予算の無理も聞いて貰わなければならない、なにしろ鉄人の維持、管理費は警察庁を窓口にして国からの援助で賄われているのだ」 (つづく)
