由比敬介のブログ
近鉄とオリックスの合併
近鉄とオリックスの合併

近鉄とオリックスの合併

さて、ごく最近始めたEssayなので、もう少しタイムリーに振りたい話題ではあったのだが、未だ渦中で、まさに合併の調印を目前にというところでもあり、新鮮ではないがまだ腐ってはいない表題の話題について思うところを。
そもそもこの件が話題に上ったのは唐突なことで、他聞に漏れず私もびっくりしたのだが、そんな中で、自らが密かにファンであるところのヤクルトでなくて良かったな、というのが正直なところであった。さてこのことは、実はこの問題を考えるに当たって、実は極めて少なくとも私にとっては重要だったわけで、まず冒頭に記しておきたい。
プロ野球リーグが、なぜ12球団がいいのか、という問題は実は私はあまり根拠がないのだろうな、と考えている。敢えて言えば、そこそこな歴史の中で、野球界とそれを取り巻く社会、経済界が、淘汰というか、試行錯誤の末、落ち着いたところが12球団2リーグ制で、進化論的な観点からいうと、ベストだったんだろうなということである。ただ、この論理の行き着く先は10球団1リーグはさらにその進化形であるという論拠ともなりかねないので、敢えて現時点でこのしばらく安定的に続いた2リーグ制あってこその理屈といっておく。根拠がないといったのは、その程度の脆弱な根拠しか、私には見えないと言うことである。
尤も、日本シリーズやオールスターのために2リーグであるとか、球団数が偶数であるとか、およそ半年のリーグの中で、可能な試合数から逆算してそれぞれのチームがどの程度の対戦をするとか(巨人とはできるだけ戦いたいとか)、それ以外にも12球団がバランス的にいいという意見もあろうと思う。16チーム2リーグとか、18チーム3リーグとか、多くなると選手の能力の差が・・・・という意見を聞いたことがあるが、これは選手や選手予備軍に対して失礼だと思うが。世の中というのは、18チームあれば、意外とそれでいけたりするものであろうと思う。むしろ現状のように、ホームランバッターを金に飽かせて取ってきながら、2位に甘んじている巨人のように、様々な点で球界のバランスを崩そうと目論んでいるとしか思えないチームの方が問題であろう。
12球団2リーグがいいのか、10球団1リーグがいいのかという問題は、どこぞのオーナーが鶴の一声で決められるような話題でもなければ、経営者だという理由でオーナーが会議で決めてしまえる問題でもないと思う。私は10球団1リーグでもそれなりに楽しめる野球はできると思うし、どちらかといえば、実際に野球をやっている選手や、それをわざわざ球場にまで足を運んで見てくれるファンの意見はとても大切で、彼らのおかげで収入を得ている球団は、「お客様」である彼らの方を向くことこそが、顧客主義を大切にする昨今の商業のあり方にもマッチすると思う。
実は静観している多くの人は、「どちらでもいい」「なるようにしかならない」と思っている人が多いか、少なくとも、「12球団2リーグと10球団1リーグ」のどちらがメリットが大きいかと問われれば分からない人が多いと思う。実はこれは結果論の問題で、やってみなければ分からないというのが事実ではないだろうか。それぞれにはそれぞれの言い分があるだろうが、こればかりは、10球団1リーグになったときに、古田を始めとする選手会や、評論家が言うほど、ひどいことになるという保証はどこにもない。


今回の問題で、尤も問題であり、浮き彫りになった球界の醜悪とも言える部分は、大きく2点ある。
一つは、これまで球団経営をうまくできなかった近鉄が、自らオーナーであり続けたいというまさに「しがみついた」ような形での未練たらたらの合併劇と、それを許してしまうオーナー会議という名のなれ合いの経済団体、さらに、ライブドアのような買収を名乗り出た会社に対して一顧だに与えない傲慢さは、見ていて非常に気分が悪い。
「うちではうまくいかない、バファローズのために一肌脱いでくれる企業はないか?」とでも言った方が近鉄の株も上がるだろうし、野球ファンも喜ぶ。たとえライブドアの社長のTシャツ姿がださくても、そのことでおじいさんたちが彼を非難するのは当たらない。(先日朝まで生テレビで、著名な評論家が、彼がネクタイをしてこなかったことで、彼の意見など聞くにも値しないというようなことを言っていたが、そのような皮相な見解しかもてない評論家氏の方が、たとえ今までの氏の業績がどうあれ、聞くに値しない。こういう場合にこそ、年寄りの冷や水とか、老いては子に・・・とかの表現を使うに相応しい。ネクタイの話題はまたいずれ・・・)
ライブドアに売るのがいいかどうかは別として、少なくとも、球団経営に失敗した近鉄はそこから手を引くべきだし、それができない近鉄という企業が往昔はどうあれ、今はたいした企業ではない、少なくとも経営陣はと見るしかないだろう。そこと合併しようというオリックスにはまた別の思惑があるだろうが。
いずれにしても合併後の球団にもその親会社の作ったマイナスイメージはつきまとうわけで、結果的にいいことだとは思えない。
第2に渡辺というおじいちゃん一人に振り回されている(ように見える)球界やマスコミ。さっさと引退して評論家に徹すべしといえる人間がいないことの情けなさ。2チャンネルや様々な場所で、渡辺氏の悪口はよく見るが、悪口を言っても始まらない。今の地位になった渡辺氏には敬意を払うべきだし、「無礼」だとのたまう彼自身が、多くの場面で無礼な発言をしているようなので、その点はイーブンかなとも思うが、少なくとも「現役を引退し、ご意見番のような立場で、後輩を温かく見守ってはいかが?」程度のことを周りの人間が言ってやるべきだ。
「高橋君は若いから・・・」という発言をそのまま渡辺氏に「渡辺さんはお年だから・・・」
と返してあげるのは、けんかを買うと言うことなのでなかなかできないと思うが、でも実は、年寄りを大切にしないとか、ないがしろにするということではなく、わずか100年にも満たない人生の中で、尤も働き盛りである20から60位の人間が、子供やお年寄りのことを考えてリーダーシップを取っていくというのが、社会をよくしていく一つのあり方だと私は考えている。
グスタフ・マーラーは私が好きな作曲家の一人だが、彼が若い友人のシェーンベルクの作品のコンサートに行ったとき、会場は大ブーイングだったらしい。斬新な音楽だったのだ。そのときマーラーは立ち上がって、聴衆に怒り、きちんとコンサートを聞くように言った。コンサート後、マーラーの奥さんはマーラーに「あなたはあの音楽が分かるの?」と聞いたらしい。するとマーラーは、
「僕にも分からない。けれども彼の方が若い、きっと彼の方が正しいんだ」といったという。
若さが正しさの証左になるなどということはない。しかし、新しい何かが作られるとき、あるいは、若い人間が真剣に何かを訴えているとき、そこに敬意を払う老人こそが若者から敬意を払われるべきであると私は思う。
一連の報道しか知らないが、渡辺氏の発言を聞く限り、彼はそれに値する人物であるとは思えない。
氏の発言の方が一瞬革新的に聞こえ、12球団を守ろうとする若い選手やファンたちの方が保守的に、一瞬映るが、むしろ古田は、球団を増やして欲しいと言っている。Jリーグがうまく生かせた方法がいくつもある。リーグとしては若いJリーグからは学ぶことがいくつもあるのではないだろうか。
結論。冒頭に戻るが、私はヤクルトファンである。でも、ヤクルトが在郷ということで巨人と合併したり、横浜や、西武などご近所の球団と合併したら、やっぱり興味はずいぶん薄れるだろうな。そう考えると今回の合併劇は、身近に置き換えていい話ではない。球界の再編は巨人偏重の金とファンの構図をどうにかしない限りうまくいかないだろうな。ベイスターズの親会社になったって、巨人戦しか放映しないTBSや、ナイター祭りとか言いながら、こちらも巨人戦しか放映しないフジサンケイのお台場のテレビ局だってそうだし、プロ野球ニュースの多くが、取り敢えず巨人戦以外を「その他の5試合」の結果みたいに伝えている限りは、野球界なんて変わらない。そんな気がいたします。
まだリハビリがうまくいっていないな(モノローグ)。
これ書いたばっかりなのに、渡辺さん引退ですかい。なんてタイムリーな(自分的に)。
だから、こんな辞め方でなくねえ・・・・・・
ニュース
ところで、昨日のニュースでもやっていましたが、スト決行かみたいなお話しですが、これは選手にとってもどうですかねえ。なんだか昔の鉄道のストみたいで、ストって力なき労働者のせめてもの反抗みたいなところがあって、資本家に対する工場のストみたいなのは意味があった頃もあると思いますが、既に鉄道の頃から、春闘もかなり形骸化しているように見えましたから。
それより近鉄球団に、株主や、ファン、マスコミが「それでいいのか!」といっていくことの方がいいような・・・・影響ないのかなあ・・・・きっと球団上層部は合併しちゃった者勝ちみたいに考えているんだろうな。ある意味横暴だなあ。
そもそも彼らがどう考えているかなんて言うことは公表もしてないし、でもことは野球界の問題で、説明責任はあると思うんだが、主要自らが、説明責任を果たしてるって、勝手に自分で言い切れば責任を果たしているように振る舞える国だから、仕方ないと言えば仕方ないのかなあ。
どうも藪の中。

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