由比敬介のブログ
大統領選挙
大統領選挙

大統領選挙

 アメリカの大統領選挙が終わってブッシュが再選された。アメリカ国民の選択はこれまでの政治や経済を是認した形になった。・・・・が、待てよ。日本の選挙でもそうだが、選挙の結果というのは、あたかも勝った方は国民すべてから選ばれたような顔をする。本当にそうだろうか?
 アメリカの大統領選挙というのは、経験のない日本人には判りづらい。選挙人を通した選挙とはいえ、奇妙な直接選挙だ。なぜ、選挙人を間に置いているのか、見ていても私などにはよく分からない。
 いずれにせよ、今回は思いの外、得票数は開いたようだ。投票率も60%になるという。日本で首相を直接選挙で選ぶことになった時、これだけの投票率になるだろうか?
 まあ、日本のことはさておいて、60%の投票率というのは、言ってみれば残りの40%は投票していないと言うことだ。40%のうち、どれほどが、意志を持って投票していないか、推測するすべもないが、どちらの候補者にもNo!と言っている人は明らかにいる。
 
 政治家は、常に当選した時に「選ばれた」「信任された」という。だが、圧倒的多数の票を得た政治家と、僅差で勝った政治家が、同じ信任を得ていないことは明らかなことだ。だが政治家の中で、その辺りを謙虚に受け止めて、「実は市民の半分は私にNoと言っている。当選したからには彼らにもYesと言ってもらえるように努力する」みたいなことを言った人を、私は見たことがない。皆厚顔だ。
 民主主義は多数決がその基本を担っている。多数決が物事を決めていくのはある意味やむを得ない。一艘しかない船の乗員が、右に行くか左に行くかを決めるのに、少数派の意見を聞くことはない。もちろん、どちらがより知識があるかなどと言う余分な条件がない場合だ。
 ブッシュがケリーになったところで、戦場で死ぬ兵士がどれほど死ぬのか判らないが、ジェンキンスさんが、戦場が怖くて逃げたと言っていたようだが、兵士の多くはそう感じているに違いない。
 うまく言えないが、政治家は、自分が政治を行うメリットとともに、自分が行った時のディメリットも頭の隅にとどめていて欲しい。少なくとも、国民の半数近くが相手に票を与えていることを自覚していない政治家が、政治を続けていく限り、人類はあまり進歩していない感じがするし、今回のアメリカの選挙を見ても、世界で最も進んでいる国にして、こんなものなのだという感がぬぐえない。
 個としての人は、いかにも様々な個性や正論をその中に持っていることが多いが、集団は相当に機能が落ちる。心理歴史学はある意味SFではなく、現実の政治に当てはめられるような気がする。
 民主主義という、最も集団にとって公平であるはずの仕組みは、その中で特殊な権限を持つ人間を選ぶことによって、その民主主義の根底になる何かを失っているのではないだろうか?

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