ここ1か月くらいの間に、「インクレディブル・ハルク」「アイアンマン」「ハンコック」というアメコミヒーロー(ハンコックはどうだか知らないが)のDVDを観た。
 テレビのCMで3か月連続リリースと、この3作をまとめていたような記憶がある。
 マーベル・コミックというアメリカのコミック誌で人気のあるハルクとアイアンマン、同時期に上映されたがやはりヒーローものということで一緒くたにされたのだろう。
 単純に面白さから言えば、「アイアンマン」「インクレディブル・ハルク」「ハンコック」の順だ。
 ハルクに関しては、何度も書いているように、かつてのドラマ「超人ハルク」に心酔しているので、ひいき目でもあり、実は逆に手厳しくもなる。ルー・フェリグノが演じたハルクは、コミックのハルクとは全く違うが、CGではない、生身の人間としての迫力があった。また、デヴィッド・バナーを演じたビル・ビクスビーの魅力も大きかった。そもそもオリジナルはコミックなので、このドラマ版も亜流で、主人公の名前も、ブルースからデビッドに変わっている。でも、アメコミ版を読んだことがないので、実はその点はどうでもいい。
 今回の映画は、ブルース・バナーと原作に忠実だが、実は音楽の一部に、ドラマ版の音楽を使っているところが心憎い。ドラマのエンディングで、デヴィッドが一人町を去り、ヒッチハイクをしていくシーンで必ず流れていたピアノ曲が、使われていた。
 数年前に「ハルク」というのが上映されたが、実はこれを観ていない。今回の作品とつながりがあるのかも知らない。
 今回のバナーは、うまく孤独感も出していた。
 お話はこういう物語によくある、ハルクと同等に強い悪が出てきてハルクが倒すという物語なので、単純にストーリー展開だけを追うのであれば、ありきたりだ。だが今回の「インクレディブル・ハルク」は、比較的よくできていた。結局のところ、この物語は、元に戻りたいバナーが苦労をしても元へ戻れない中で、ハルクが活躍をする物語でしかないので、その点がいかにうまく描かれるかが勝負なのだが、今回は成功していると言える。
 エンドロールが終わった後に、ハルクを軍の兵器として利用しようとして失敗したかつてのバナーの上司にして、恋人の父親でもある将軍の元に、「アイアンマン」の主役であるトニー・スタークが現れるという心憎い演出がある。
 一方その「アイアンマン」だが、何となく一見すると古くさいアイアンマンの外見だが、アメリカ随一の軍事会社の社長トニー・スタークが作り上げるアイアン・マンというまあ、言ってみれば小型のガンダムのようなものだが、このハイテク鎧のCGはなかなかよくできている。そもそもスタークが、武器商人から正義の人に変わるきっかけとなる無骨なプロトタイプを出すことで、そのハイテクぶりも際だっているし、空想科学読本辺りで完全に滅多切りされそうな、突っ込みどころの多い鎧ではあるが、物語中では十分にリアリティを感じさせる。
 物語はこの手によくある、仲間だった男が実は最大の敵だったというパターンだが、その辺りを含めても、よくできた作品に仕上がっている。秘書役のグィネス・バルトローもいい味を出している。
 しかも、ヒーローが堂々と記者会見で正体を明かすというのは楽しい。
 この作品もエンドロールの後に、一くさりある。
 こちらはアヴェンジャーズのソーからのお誘いだ。
 アヴェンジャーズは、マーベル・コミックのヒーロー大集合のグループだが、リーダーがキャプテン・アメリカ、そしてソーとアイアンマンがビッグ3と言われるらしい。ハルクもこのメンバーだ。
 これが次の作品への布石なのか、単なるおまけなのかは解らないが、なかなか粋な計らいだ。
 さて「ハンコック」だが、嫌われ者のヒーローという設定が面白そうで一番期待していたのだが、図らずも最も肩すかしを食らった。ただ、彼をまっとうなヒーローに仕立てようとするエンブリーという男の妻が、実はハンコックの元妻で、ハンコックと同等の力を持っていると言うところは面白かった。だが、逆に言えば、その設定が物語の骨子をほぼ決めてしまっていて、「インクレディブル・ハルク」や「アイアンマン」にある、同等かそれ以上の力を持つ悪との対決という構図にはなっていない。むしろ、弱点を突かれて、力を失うというパターンで、どちらかというと人間的な感動ドラマに持っていこうとでもしているかのような部分が、ちょっとうざい。
 ただ、これも決してつまらないわけではない。先日書いたキアヌの「地球が静止する日」に比べたら、遙かにできはいい。映画としてはあれはくそだ。
 この3作、何よりトニー・スタークのかっこよさが際だっている。
 さて、ハルクのバナー役の吹き替えを水嶋ヒロ、ハンコックのエンブリー役を眞木大輔、この3作とは関係ないが「スピードレーサー」の吹き替えを赤西仁、「ウォンテッド」の主役をDAIGOが吹き替えており、まあ昨今芸能界の著名人による吹き替えが花盛りだが、どうにかこれを止めて頂きたい。使うなら端役からうまくなるまで待って使って欲しい。
 DAIGOは論外だが(今時素人でもこんなくそみたいな吹き替えはしない。これでいいと思っているスタッフの気が知れない)。赤西もなかなかひどかった。相手役の上戸彩はまあまあだったのに。水嶋と眞木大も決してうまくはないが、我慢できる範囲だった。とはいえ、他の声優に比べたら、雲泥の差で、最近吹き替えで観ることが多いので(字幕を読むのが面倒)、不満の一つだ。
 さすが餅は餅屋で、声優さんというのはたいしたものだと、思わずうなってしまうのだ。


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