由比敬介のブログ
旅の楽しみ
旅の楽しみ

旅の楽しみ

 北海道の話の続き。
 北海道に限らず、日本国内の旅行が好きな理由は、「電車で行ける」「言葉が通じる」「温泉に裸で入れる」などいくつかあるが、食事が旨いというのもある。
 フランスに行った時、やはり食事は日本の方が旨いと思った。フランスで食べられるものの多くは日本でも食べられるが、日本の例えば旅館の料理などは、なかなか海外では食べられない。
 国内を旅する時の、食事は重要なファクターだ。
 一頃は、ホテルや旅館で、1泊2食というと、夜の食事は刺身と鍋と、揚げ物と・・・・みたいなパターン化された物が多く、辟易したこともあったが、最近は競争も激しく、例えば刺身一つとっても、こだわりの強いところが多い。
 それとは反対に、ホテルなどでは、朝食をバイキングと言うところがこれまた多い。
 北欧のバイキングがそんな食い方をしていたのかどうか知らないが、多分語源はそこに間違いない。
 知床に行った時、一人旅だったが、電話で当日に予約を入れた。地の物や、特別料理などがある場合があるので、電話で確認したが、料金はいくらですというだけで何の説明もなく、ホテルに着いた、チェックインして、部屋に入ると、部屋はなかなか良かった。大きなホテルだったので、温泉の大浴場は、客も多く、気持ち的にはのんびりしなかった。
 食事が何時から食堂でという話を聞いていたので、食堂へ向かうと、バイキングだった。正直な話、その時までバイキングだという話はなかったし、当然そんな確認はこちらもしていない。ひどく腹が立った。一人旅の男が、大勢のツアー客に混じってバイキングの食事をするなど望んでいるかどうか、分かりそうなものだ。
 今更文句を言っても、後々気分が悪くなるだけなので何も言わなかったが、食事もそこそこに部屋に戻った。後にも先にも、最悪の食事だった。
 バイキングが嫌いなわけではない。好きでもないが。朝食は眠いし、それほど気にしない。しかし、1日歩いたりして、楽しみにしている夜の食事が、しかもしっかり料金も払って、バイキング!団体旅行をして、わいわい仲間と選んで食べるというならともかく、一人旅で、大勢の客に混じって、しかも相席だった。
 二度とこんなホテルは泊まらないと思った。
 いまだにこんなに思っているのだから、相当だったのだ。最初からバイキングと予約時に言われていたら泊まっていない。それくらいフレキシブルな旅行だ。ウトロではそこしか泊まるところがないと言うことであれば、他に泊まったろう。
 唯一良かったのは、団体客がバスでどんどん出ていく中、一人で温泉に浸かっていたことだろうか。大浴場から、走っていくバスがよく見えたから。少し元を取った気がした。
 旅というのは日常生活から逸脱した何かを得るために行う。私にとっては、だから団体旅行が苦手だ。気があった友達や仲間との旅行は別だが、いわゆるツアーというのには参加したことがない。ツアーのルートや、その間中同じ人たちと行動するというのが、私には耐えられない。
 草むらに横になって、居たいだけそこにいたり、急に予定を変えたり、こういう事ができないと、非常に窮屈な旅となる。もちろん、どんな場合でも旅程はあるし、有り余る金と時間を持っているなら真に気ままな旅もできるが、それなりの制約が普通はある。それはやむを得ない。
 帰りたいと思ったら、急に帰れるし、そこに2泊したかったらできる。私にとって旅行とはそういうものだし、それこそが旅の醍醐味、楽しみでもある。

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